岩手県立大東高等学校に芹澤講師(現役商社マン)を派遣しました。


2017年11月22日 (水) 、岩手県立大東高等学校の「キャリア教育と国際感覚」特別講演会に、現役商社マンである芹澤健講師を派遣し、第2学年生徒129名に講演を行いました。

 

芹澤講師略歴: 1976年生まれ。 一橋大学商学部商学科卒 。2005~2008年、伊藤忠中近東会社ドバイ駐在、中東諸国、アフリカ諸国におけるエネルギートレードビジネスに従事。  2011~2013年、伊藤忠商事ロンドン事務所駐在、ヨーロッパ、アメリカにおける原油・石油製品・LPGのトレードビジネスに従事。現在、伊藤忠商事(株)東京本社勤務。

以下、芹澤講師の出講報告です

今回、初めて講師を務めさせていただき、岩手県立大東高校(岩手県一関市)にお伺いし、お話しをしました。初めてということもあり、緊張しつつ、少しでも若い皆さんにメッセージが届き、将来、いくらかでもお役に立てばと思い話しました。

実際に私が海外で生活し、仕事をしていく中で感じたことを契機に、日本と海外との比較文化のお話しと、今後海外に出ていくみなさんに、興味好奇心を持ってほしいこと、じっくりと本を読んでほしいこと、じっくり長い間にわたってテーマを決めて打ち込んでほしいこと、等をお伝えしました。

(導入・自らの高校時代、大学時代)

自分が高校生だった頃、何を思っていたか思い出しながら、主に受験生活で暗記中心の勉強や、割と厳しいルール、校則に息苦しさを感じたこと、いつか海外にでて、違う世界の空気を吸ってみたい、そんなことを思い始めていたことを話しました。海外で仕事してみたい、生活してみたい、そんな生活をするのには、商社がいいのではないかと思い、そういう漠然とした思い込みで商社の世界に入ったお話をしました。

(実際に駐在した、ドバイ(UAE)、ロンドン(イギリス)の話)

ドバイが繁栄している理由を皆さんに聞きつつ、自説でありますが、ドバイからみれば近隣にあたるインドからの移民が大量に移住していること、その背景には、UAEはイスラム教国でありつつも、自由なお国柄であること、インドでいまだに根強いカースト制が存在し、国外で自由に働きたい、という欲求にこたえているのが、ドバイであることを話しました。イギリスでは、古いことを尊ぶ日本とはやや違う成熟したお国柄であること、個人の自立が進み、気質として群れないという傾向のあることをお話しました。

(日本と海外との比較)

いくつか対比形式で、日本と私の経験した中東、イギリス、アメリカの国々の文化の比較をしました。
例えば
・細かい作業、緻密な日本人、割りとざっくりとした外国人
・空気を読む日本人、読まない外国人
・上下関係を気にしすぎる日本人・さほど気にしない外国人
・全員の同意を重視する日本人・全員賛成を求めない外国人
・身内に対する親切さの一方で、部外者への冷淡な日本人・個人の独立を好む外国人
・若いころで勉強が終わる日本人・大人になって必要に応じて頑張る外国人、等

(本の紹介)

いくつか、皆さんに読んでほしい本をあげさせてもらいました。それぞれの本の内容を簡単にお話ししつつ、お話したテーマに関係する本の一つとして、「自由と規律」(池田潔 岩波文庫)の内容に触れ、イギリス人の話として、言いにくい場、空気を感じることがイギリス人にもあり、そういう場でもイギリス人は、日本人同様に悩むのですが、その際に大切にしているのは、ユーモアのセンスであることを話しました。誰でも言いにくいこと、話しにくいことがあるが、それを打ち破るきっかけはユーモアであること、そんなことが書いてあることを話しました。

また、実例を用い、本を読む際に、自分の好きな言葉が見つかったらメモをとってほしいこと、それが将来何かの際に役立つであろうことを話しました。

(多様性の話し)

日経新聞の切り抜きの記事を使い、日本の会社経営がいかに日本人だけで行われているか、例えばスイスの企業がどれだけ多くの国籍の人で経営をしているか、話しました。今後、日本の人口が減少傾向に向かう中で、日本企業が成長してくために必要なのはこういう多様性、国際性なのかもしれないことを話しました。

(若い皆さんへのメッセージ)

これまでの話の総括として、以下3つほど、お伝えしました。
・今後、日本語を理解する人間が大幅に増えない世の中で、海外により興味を持ってほしいこと。
・興味を持つことからすべてが始まるので、なんでもいいので、興味をもってほしいこと。
・テーマを見つけてほしいこと。そのためには本を読み、テーマを見つけられたらまたその分野の本を読み、最終的にはその道のプロ、第一人者に教わってほしいこと。

(質問)

最後に、生徒さんから質問をもらい、海外の人と仲良くするためのヒントについて聞かれました。実際にUAEでの経験の中から、現地在住のギリシャ人と仕事でもめたこと、その後、そのギリシャ人と和解し、仲良くなったことを話しました。意見の対立を恐れず、自分の主張をすることが、日本人としては苦手かもしれないけれども重要なことだと話しました。

相手の個性を認めることが、相手から自分の個性を認めてもらうことでもあること、お互い、別の個性であること、差異が存在することを認めあうことからはじめることが重要であることを話しました。

(感想)

いろいろな興味、背景を持った生徒さんがいらっしゃるなかで、話のメインをどこに置こうかいろいろと考え、やや難しい話にもなるかもしれないが、比較文化の話をしようと思った。特徴的な個別の行動様式や思考の海外と日本との差異の根底には、宗教に強く影響を受けてきた海外と、比較的無神論的な立場をとる日本との差があり、そのことは海外に出て生活してみるとよりわかりやすい感覚である一方、日本にいるとなかなか分かりづらい。家族のみならず、社会生活においても周囲にいる人間関係を重視する日本人の特徴は、良くも悪くも、日本文化の特徴で、人間関係を軽視するわけではないが、それを必ずしも絶対視しない、やや突き放した客観的な立場を重視する海外文化との差を、海外にでることで若い世代の特に高校生には経験してほしいと思った。

年齢を重ねても多様な価値観を抱擁できる、文化的に、精神的に豊かな人材を育てるためには、社会に出る前の若い頃に、育ってきた背景、習慣を客観的にみられるような、文化比較を経験できる世界に身を置くことが重要であり、日本のエリート教育に必要なことの一つだと思われる。またそうした多様性への真の寛容性や、異なる個性を抱擁しつつリーダーシップを発揮することが、日本社会に欠けている部分の一つなのではないか。理想論ではあるが、そんな人材が育ってほしいと思った。

大東高校の皆さんには、社会に出て大いに活躍してほしいと思いつつ話し、公演中の若い皆さんの真剣な表情に勇気をもらいました。貴重な機会を頂き、ありがとうございました。

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生徒感想文はこちらから
当日の模様が岩手日日新聞に掲載されました。