横浜市立の3小学校に湯澤講師を派遣しました


2月26日、3月1日、3月12日に、横浜市立梅林小学校、並木第四小学校、矢部小学校へ湯澤三郎講師を派遣し、卒業を間近かに控えた6年生に 「夢をもとう ~世界に目を広げよう~ 」、「世界に向かって、思い切り自分らしく!」というテーマで講話を行いました。


梅林小学校での授業風景

 

湯澤講師略歴

1940年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。ジェトロ理事、エルサルバドル大使、エジプト通産大臣輸出振興アドバイザーを歴任、現在 国際貿易投資研究所専務理事。海外駐在体験国:スペイン、米国、ブラジル、ペルー、エルサルバドル、エジプト。

以下、湯澤講師の出講報告です。

卒業式を前にわくわくする解放感と期待に胸膨らむ思いの3校の6年生にお話をする機会を頂きました。3校へは派遣委員長の阿部さんと最寄りの駅で待ち合わせして伺いしました。3校ではそれぞれの校長先生から、間もなく送り出す6年生への熱い思いをお伺いし、背筋が伸びる思いで会場に向かいました。それぞれの学校の生徒さんにお配りした講演メモは違い、並木第4小学校ではパワーポイントを併用したお話しでした(別添資料参照)。また3校とも全く同じお話しをしたわけではなく、生徒さんの顔、反応を見ながら、たとえ話や強調したポイントはそれぞれ少しずつ違うのですが、お話の骨子・あらましは次のように共通したものでした。

――お話しの概要――

小学校に入学した時を覚えていますか。随分昔と思う人は?ついこの前のようだと思う人は?6年はとても早かったと思うでしょう。もうすぐ卒業して中学生。梅林小入学がついこの前と同様、これからの6年もあっという間でしょう。そして大事なことは、皆さんは6年後には大人になる!!選挙権があり、市民として市や県、国の政治に関わることに。
教えてもらう人から自分で考え、自分の行いに責任を持つことが社会的に要求されるようになる。「急にそう言われても・・・」と思うでしょうか。

「自分で考え、行動する」とは周りを見て手を挙げる、周りの人たちと同じようにすればよい、と考えると大事なものをあなたが失うことになる。折角の「自分らしさ」を自分が蓋をしてしまうことに。誰もが「ヒトとは違う」。その違いが貴重な宝、素晴らしい「自分らしさ」を物語っている。小さじ一杯の土には5億から10億の微生物がいる。そのなかでアフリカの感染症オコンセルカをやっつける微生物がいた。それを大村さんが見つけてノーベル賞をもらった。もう一例。野菜や果物が枯れてしまう、紋羽病という病気がある。

根を引っこ抜くとこぶができている。こぶのなかの線虫が悪さをしているのだと、強力な殺虫剤を土中に噴霧して殺した。だが線虫が絶滅したら植物は紋羽菌に一層やられてしまった。実は線虫は紋羽菌を食べるいい虫だった。有り難い役割をもって一生懸命紋羽菌をやっつけていた。

見かけは目に見えない微生物や、ほんの小さな虫でさえ立派な役割を持っている。一人一人の人間だって、それぞれもっともっと素晴らしい役割を持っているはず。それに気づかないだけ。それ見つけて行くのがまずこれからの6年。どうやって?勉強とお付き合いするようになった多くの人たちを通じて。
何を勉強する?色々お覚えなきゃいけないし、テストもあるし、入学試験もあるし・・・「勉強かあ!」自分はどういう分野が面白いと感じるか?大自然、大宇宙の絶妙な仕組みに?
人間の考えや行動の広さや深さ、生き方や存在そのもの、お互いの関係や交流に興味を持つか、あるいは人が集まる際に生まれる秩序、、生活の賄い、モノの生産とやりとりなどに関心を持つか。小学校より格段に広がった内容を教わって自分のうちに眠っていた好奇心を呼び覚まし自分の興味を掘り起こしてくれる。

学年、学校が進むにつれて友達も多くなる。友達や先生は自分だけでは気づかなかった自分を教えてくれる。「ぱっとしない自分」と思っても自分らしさを見つけてないだけ、みつけようとしないだけ。「話が上手い」のと「話しは上手くないけど聞くことは上手い」のとどっちがいい?どっちも「らしさ」だが、話し上手は話し過ぎてしまって相手の話をよく聞かない癖になってしまうことも。社会にでると話し上手より、聞き上手の方が案外評価される。頭がいいに越したことはなく、テストでいい点をとるのも{らしさ}だろう。だが五つの外資系会社の社長をやった人がある時、「入社のペーパーテストの結果と面接の結果を13年後の役職と比べて、それぞれどういう関係が出ているか」調べた。結果はペーパーテストの優秀者と13年の役職とは無関係だった。一方面接で良い点をとった学生は13年後も高いポストについており、面接の結果と役職は大いに関係があった。

自分らしさ、自分の良さを考えて行くのは、将来自分は何になりたいかという夢、希望と関係がある。命令されてやることは疲れるが、好きなことのために流す汗は苦にならない。

早めに自分の興味や自分らしさを意識した人は、早めに自分の将来の進み方を描くことができるし、そのための努力を絞ることができる。しかもそれが余り苦にならない。

「何になりたい」と決めている人は?「ぼやっとでもどういう方向へ行きたい」と思っている人は?どちらでもない人はこれから夢、希望を好きなように描ける。僕は小6の時は漠然と「外国へ行って働けるところへ行きたい」と思っていた。

将来何になりたいか考える時に、大事なのはどの職業でも今や外国との関わり、外国人との関わり抜きに考えられなくなっていること。多くのお店で働く外国人を見かける。株式上場会社の売り上げの半分は外国との取引から来る。石油や食料品の過半は輸入しないと日本はやっていけない。日本人の高齢者比率は世界一。農業をやるヒトも減るから食料輸入はもっと増えるだろう。

回転すし屋さんに就職しても、コンビニやスーパー、ラーメン屋さん、美容室、理髪店に就職しても、外国で働くことになるかもしれない。それも自分の良さ、自分らしさを発揮できるチャンスになるかもしれない。もう昔の日本ではない。

日本は日本の良さがあり、世界では日本と日本人は一目おかれていることは確かだ。昔から(江戸末期~明治)日本、日本人は礼儀正しい、清潔、安全、公徳心が高い、真面目、学問に熱心という評判だった。日本人だけで社会を形成してきた歴史の良い面がある一方、世界の流れとは異なるしきたりで社会や人々が過ごして来たことも確かだ。外国人から見た日本人は「あいまいで何を考えているかわからない」という人が多い。だから世界でものごとを決める時、日本が抜かされることもある。世界に発言しなくては!

会社の会議でも、部長、課長が発言したことに異なる意見を言いにくい雰囲気が今でもある。平の社員は違うと思っても黙る方を選ぶ。KYという言葉がある。空気を読むという意味らしい。その場の空気に違う発言をしない方がよいという教訓めいた言葉だ。しかも後になって、「実は自分はあの時はこう思っていた」などと小声で言い訳めいたことをいうことがよくある。これは世界では全く通用しないどころか、厳しく非難される態度である。日本人はグループではすごい成果を発揮するが、個人では力を発揮するのは苦手だ。これは「自分の考えていることをその場で述べる」習慣を身に着けてこなかったせいもある。違いがあるところから新しい価値あるものが生まれる。自分らしさを意見として表現することはとても大事なこと。9人が同じ意見で一人だけ違った意見を述べるのは難しいかもしれない。でもその一人の意見が大事。少数の意見を大事にできない組織は成功しない、元気をなくして行く。一人の意見が組織を救うかもしれない。サッチャーさんは「民主主義は少数意見の尊重だ」と言った。学校や会社、その他組織ではまだ黙っていた方がよさそうだという空気が残っていて、発言は場違いな感じを持たれるかもしれない。しかし、意見の違いが結局はより素晴らしい結論を生み、同じ意見や殆どが黙った会合からは価値ある結論を生まないことは確かである。例えきちんとなぜ自分は違うと思うのか、詳しく理屈を説明できなくてもよい。「きちんとどういう理屈で説明したらいいかわからないけど、自分としては違うと思う」という一言だけでもよい。その一人がいたかいなかったかで会議の思みが変わるし、あなたの価値も変わる。自分らしさを自分が表現しただけでなく、見る人はちゃんとあなたを見ている。

夢や希望は実現できるのだろうか?「どうせだめだろう」と思ってしまう人と「とにかくやってみよう」と思う人。成功した多くの人は「必ずできると信じればできる」と言う。

勿論それなりの努力をすることは必要だ。アメリカの大富豪になったカーネギーと言う人は、夢実現には法則があるといって、「成功を信じ続けることだ」と言う。勿論そのための努力は必要だ。日本でも「その夢が人のためになるならば必ず天が助けて実現を応援してくれる」と昔から言われていたし、今でも稲盛和夫という有名な財界人がそう言っている。皆さんはどう思いますか。信じてもよいし、どうかなあと思ってもいい。僕はどちらかと言うと信じてみようという一人ですが。

稲盛さんが言っているように、「人のために」ということは大事な点です。何になりたいかという時、それはなぜかと一寸考えてみましょう。例えば、お金がもうかるから、有名になれるから、好きだから、面白そうだから、などと並んで人のためになる、人に喜んでもらいたいという理由は入っていますか。誰でも何かになりたい、何かを欲しいという場合は、そうすることで幸せ感を覚えるからです。誰でも人は幸せになりたいと望みます。

ではどういう時に人は幸せだなあと感じるのでしょうか。美味しいものを食べた時?何かうまくいった時?お金がもうかった時?人によって違うでしょうが、誰にも共通した幸せ感を覚えるのは、人から「有難う」と感謝された時、笑顔をもらった時ではないでしょうか?病気になった時も、落ち込んだ時、いくつになっても、笑顔で「ありがとう」と感謝される時は誰でも「よかったなあ」と嬉しくなります。皆様はおかあさん、お父さんから「有難う」と言われた時、一番嬉しくなかったですか。お手伝いをして「有難う」と言われた時、「またお手伝いしよう」と思ったでしょう。「有難う」の心と言葉が人を幸せにするのです。「お金儲けをして南国の浜辺でハンモックを吊っておいしいお酒をのむのが夢だ」と思っていた人が、本当にお金を儲けて夢実現しました。その人が新聞に投書をしていました。「思い通り南国の浜辺でハンモックに寝て美味しいお酒を飲んだけど面白くなかった」

やはり人に笑顔で感謝されないと、人は心から幸せだと感じないようです。  (了)

 

講演資料(梅林小学校)
講演資料(並木第4小学校)
講演資料(矢部小学校)

生徒アンケート集約(梅林小学校)
生徒感想文(並木第四小学校)
生徒感想文(矢部小学校)

 
並木第四小学校での授業風景

 
矢部小学校での授業風景