城西大学「城西エクステンション・プログラム」に木村講師を派遣しました。

12月2日(土)、城西大学「城西エクステンション・プログラム」に木村正文講師を派遣し、「時代を先取りする中国のネット文化と過去の伝統を引き継ぐチベット文化」というテーマで講演を行いました。

木村講師略歴:1951年 東京に生まれる 。上智大学経済学部経済学科卒。 1974年 伊藤忠商事㈱入社、語学研修生として香港大学、南京大学へ留学。その後 北京・香港・広州・上海に駐在、伊藤忠丸紅鉄鋼㈱ 香港・上海駐在(中国総代表)を歴任。 2012年~ 淀川製鋼所特別顧問。 中国(含む香港)に22年間 駐在を含め、1979年より現在に至るまで日中間を往来している。

以下、木村講師の出講レポートです。

師走を迎えた12月2日(土)城西エクステンション・プログラムにゲスト講師として講演を行いました。

当日のテーマは「落語家の中国80日旅語り」という一風変わったタイトルで、先ずは落語家の入船亭遊京さんが高座にのぼり中国新発見の旅を愉快な体験談を交え、落語と語りで会場を大いに盛り上げてくれました。笑いの中にも中国の本質を捉えた語りは随所になるほどと感心するところがあり、流石でした。

そのプロの噺家のあとを受けて、多少プレッシャーを感じながら、全く異なる観点から中国の現状とチベット文化について講演しました。当日の会場は城西大学の行き届いた準備で、席が足りないほど超満席の素晴らしい雰囲気の中、感謝すると同時に、落語家とのコラボという新鮮な体験を味わうことが出来、大変勉強になりました。

今回の私のテーマは「時代を先取りする中国のネット文化と過去の伝統を引き継ぐチベット文化」と2つのパートに分けて、両者の対比を通じて中国の相異なる一面を取り上げる試みでした。

最初のパートでは想定外のスピードで変化する中国のスマホ文化に焦点を当て、1か月も現地に行かないと情報が陳腐化してしまう中国の実態を写真を交えながらパワーポイントで紹介しました。

そもそも、日本人と中国人は顔かたちは似ていますがその性格は全く異なっており、ともすると誤解を生みやすい。中国人はアジア人と言うより寧ろアメリカ人に近い性格を持っています。最近中国の若者は海外指向で、海外留学、ベンチャービジネス、そして失敗を恐れずチャレンジする意識が強いのに比べて、日本の若者は内向きでリスクを冒さず、安定した生活を望む人が多いように感じます。中国人が競争社会の中でハングリー精神を発揮して、家族や縁戚を大事にするところは日本でも見習うところがあるのかも知れません。

セカンドパートのチベットでは最近とみに情報統制が厳しく、監視社会で自由に行き来が出来ませんが、そこに住むチベット人は寡黙でチベット仏教を信じ現世よりも来世に幸せが来るよう我慢強く功徳を積んでいる姿が印象的でした。爾来チベット文化の遺産には素晴らしいものがあり、中国の一部ではあっても今後共自治区として伝統文化が守られることを願わずにはいられません。

中国は国土が広く、人口が多く、加えて悠久の歴史という時間軸があって全てを理解することは恐らく誰にも出来ないと思いますが、川の流れのように止まることなく土砂を呑み込みながら新たな風土を創って行くのでしょう。限られた時間内で、どこまで聞き手に伝わったのか分かりませんが、今後中国がどう変貌を遂げて行くか、日本にとっても隣国として大きな影響があり、興味は尽きないところです。

最後に、今回の経験を今後の国際人をめざす会の活動に活かすと共に、貴重な機会を与えて頂いた関係者の皆様に感謝申し上げます。     木村正文

 


<写真クリックで拡大します>