横浜市立梅林小学校保護者の集いに関根講師を派遣しました。

2017年12月14日(木)、横浜市立梅林小学校で開催された保護者の集いに関根純一講師を派遣し、「英語落語・小噺を活用した楽しい授業づくり ~これからの時代の英語教育の一助として~」と題した講演を行いました。

関根講師略歴:1947年生まれ。横浜国立大学経済学部卒。</日商岩井㈱(現、双日)に入社し、英国・カナダ駐在。国交省主幹の英語通訳士ガイド資格を取得し、退職後は企業研修や通訳・翻訳に従事。
高座名:関根英純(せきね えいじゅん)

 

以下、関根講師の出講レポートです。

梅林小学校の黒木校長先生のご要望を踏まえ、講演テーマを「英語落語・小噺を活用した楽しい授業づくり」とし、副題を~これからの時代の英語教育の一助として~と冠したチャレンジングなテーマに決めさせて頂きました。

講演を2部構成とし、第1部では「自己紹介を兼ねた近況報告」や「英語落語を始めた動機」を中心に、英語で約20分間お話ししました。次に、「これからの英語教育で活用できる学習法」について、日本語で約40分間お話ししました。第2部の英語落語の実演に入る前に、休憩時間を利用して着物に着替えました。視的効果を高め、高座の雰囲気をご参加の皆さんに少しでも味わってもらうためです。

第2部では、先ず「落語とは何か」について、英語で約15分間の解説をしました。次に、黒木校長先生のご要望の演目、「動物園」を約15分間演じました。最後に、参加者が体験できるワークショップと称して、「小噺体験コーナー」を約15分設けました。

第1部の冒頭では、GEMを引用して自己紹介しました。GゴルフE英語及び英語関連活動Mは広義の音楽を表し、これらが私の趣味で、このGEM(宝石・大切な人[もの])を磨き上げることが、今後のライフワークでもあることを述べました。さらに、参加者の皆さんが、もし自分自身のGEMを今現在持たれていないのであれば、将来、見つけてほしいと訴えました。

「英語落語を始めた動機」では、外国人が抱く日本人に対する誤ったイメージを変えるのに、英語落語が強力な手段になる。なぜなら、落語は400年の歴史を持ち、日本の庶民の生活を中心に、日本文化の本質を伝えてくれるから、と理由付けしました。但し、これは表向きの動機であって、本当の動機はより世俗的理由からという落ちを付けることを忘れませんでした。

70歳になった今年に鑑み、インドのマハトマ・ガンディの言葉を私の座右の銘として皆さんに披露しました。私の最近の心情を見事に表現している箴言です。
「明日死ぬつもりで、今日を生きよ。永遠に生きるつもりで、今を学習せよ。」

「英語の学習法」については、冒頭、謎かけクイズを投入しました。「英語」と掛けて、「アスリートの筋肉」と説く。その心は何~んだ? 答えは「毎日のように鍛えないと衰えてしまう」でした。参加者の一人が大正解を出しました。巷に溢れている「英語速習本」や「苦労せずに英語をマスターする本」に惑わされてはダメで、毎日、コツコツと学習することが最も効果的な学習法であると結論付けました。

上記に加え、英語のインプット学習(読む・聴く)とアウトプット学習(話す・書く)の4つの要素をバランスよく学習する大切さを力説しました。それぞれの4要素について、具体例を交えて説明しましたが、ここでは省略します。

その他のサブテーマとして、「実践的英会話」「英文法」「英単語」の学習法についてお話ししました。特に、実践的英会話では、HowよりもWhatをより意識[重視]し、言いたい内容を明確にして、結論を先に言うことが大切と強調しました。日米のロジックには違いがあり、結論を先に言い、理由や背景は後付けにする方がより説得力があるからです。これは英会話だけに限らず、日本語会話やメール通信にも該当するはずです。

上記の学習法に加え、今回「先生と生徒が取り組める楽しい英語学習法」というサブテーマを設けましたが、それには以下の背景があります。文科省の方針で、小学校でも20年度より「外国語活動」の授業の開始を現在の小学5年生から3年生に前倒しすることが決まっております。小学校での英語学習の重要性が今後ますます高まる環境にあります。今回のテーマが示す通り、黒木校長先生は英語落語や小噺を活用して効果的な英語学習ができないか模索されております。

そこで、英語落語と小噺を学校の授業に導入するメリットを列挙してみました。詳細は省きますが、多くのメリットが確認されたはずです。何よりも重要なことは、小学校の生徒さんに教える前に、先ず、先生が英語落語や小噺を理解し、出来れば自分で演じてみることです。そして、生徒向けに易しい教材を作成したり、グループ学習・発表など、授業での進め方を工夫することです。

英語落語や小噺以外の学習法として、小学生向けショートストーリー・英語の歌・クロスワードパズルなどを教材として活用することを紹介しました。特に、継続的学習を習慣付けるのに最適なNHKラジオ英語講座の活用をお勧めしました。小学低学年生にはレベルが高すぎますが、5・6年生向けにはNHK基礎英語1~3(本来の対象は中学1年~3年生)は十分活用できると提言しました。

第2部の落語解説では、「一人で全キャラクターを演じる」については、女性と子供の特徴的な仕草を中心に演じました。「上手と下手」については、演目「つる」の登場人物である隠居と八五郎の会話の遣り取りで説明しました。「落語で使用する小道具」については、お箸・ナイフ(刀)・槍・ペン・杖・マイク・大盃・算盤などを扇子で、また財布・本(手紙・メモ)・焼き芋・携帯電話(スマホ)などを手拭いで表現しているところを、参加者の皆さんに推測してもらう小クイズ・ショーを設けました。

今回演じた「動物園」は、会話よりも動作により面白さが引き立つ演目と思います。本演目の英語表現や語彙は比較的簡単ですが、念のため解説書を事前配布していたこともあり、初めての英語落語経験者でも十分楽しんで頂けたもの、と勝手な想像をしています。

ワークショップ(小噺体験コーナー)の開始前に、①出来るだけ動作を入れる、②上手と下手を演じ分ける、③噺によっては小道具を使う、など、落語解説での説明を今度は、日本語で再確認いたしました。生憎、希望者が少なく、黒木校長先生、阿部講師派遣委員長や日本在住14年で、現在は教育庁関係のお仕事をされているカナダ人の方々にも飛び入り参加して頂き、本日の出張講演を無事終了することができました。参加者の皆様方のご支援・ご協力に感謝して、出張報告書を締め括りたく存じます。

講演レジュメ
講演資料①  英語小噺の実例
講演資料②  動物園の解説書

参加者アンケートの集約