国際人をめざす会 2018年「特別フォーラム」が開催されました。

  

4 月 4日(水)午後6時より約240名の参加者を得て、日本総合研究所会長・多摩大学学 長の寺島実郎氏の講演会を主催しました。「ひとはなぜ戦争をするのか」と題して、予め 配布された最新資料に基づき、時代認識から解説が始まりました。

(1) Big Data を駆使する世界規模の企業がデジタル・エコノミーをリードし、 金融工学を支配する「第 4次産業革命」という途方もない時代に突入。

(2) 昨年のアブダビで開催された技能オリンピックで全51職種の中で、日本は、総合 9位に落ち込んだ。(中国が1位)これは、日本の現場力の低下、熟練工の退職、 後継者への伝承問題、中間管理職のゆるみなど、足元の製造業の不祥事の連発にも つながる。

(3) 北朝鮮、中東、トランプ問題など政治リスクは高まる中で、世界経済は、BRICS の 持ち直し、アジアのダイナミズムもあり、同時好況を迎え、マイナス成長国が立ち 消えている。

(4) 中国の経済成長が持続し、日本にとり最大貿易相手国となる中で、中国の香港、台 湾への締め上げ、及び北朝鮮への関与、更には、中国の東アジア戦略をどう見るか が当面の大きな課題になる。 この様な状況下で、流動化する世界の動静に日本がいかなる構えで向き合うのかが課題。 例えば、中国のアジア戦略に対しては、モンゴル史から中国中心の歴史観、西欧優位の 歴史観に対して、ユーラシア大陸を見渡すグローバル・ヒストリーへの視界を拓く考え方 も最近注目されつつある。

又、AI、コンピューターサイエンスの進化により、生命、人ゲノムの解析が進む中で歴史 の進化とは何かが、今後問われてゆく。2045年までに、AI の能力が人間を超えると言 われている。確かに、認識能力たる目的、手段、合理性に関しては、AI が優れているだろ うが、意識能力たる感情、感動、涙などは、どんなセンサーでも感知出来ない人間の能力 である。即ち、人間が人間たる所以は、言葉、宗教、愛情、コミュニケーション能力であ り、AI 時代に備えこれらの知力の装備が人間として基本的に大事なことになるであろう。

講演会を通じ、寺島氏自身も当法人の会員で、これからは、一層グローバルな人材育成が 重要である旨、指摘されました。 講演会後の懇親会には、90名程度の参加を頂き、多くの方々から自ら世界を飛び回り 情報収集されている寺島氏の臨場感のある最新情報、及び多方面に亘る洞察力、分析力に 対し非常に感銘を受けたとの感想を得ることが出来ました。

以上  (文責 山口和夫)