新宿区立東戸山小学校主催の「国際理解教室」に2講師を派遣しました。

3月7日、新宿区立東戸山小学校主催の「国際理解教室」に、国際人をめざす会から皆川清、知夏七未の2講師を派遣しました。 皆川講師:「海外生活から学んだこと」 知夏講師:「自慢話で世界と繋がろう」 というテーマで、出前授業を実施しました。 以下は、各講師からの出講レポートです。 いずれの講師の出前授業も先生や生徒さん達の好評を博しました。

皆川講師略歴

1951年生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒。1974年、伊藤忠商事(株)に入社し、イラク、英国等に駐在。インドネシアではTMM社(石油・ガス用鋼管加工製造業)の副社長を歴任し2016年に帰国。

以下、皆川講師の出講報告です。

小雨降る当日、自然環境豊かな戸山公園と戸山ハイツに囲まれた東戸山小学校を訪れ、卒業を11日後に控えた6年1組21名のみなさんにお話をする機会を頂きました。69周年を迎える伝統ある小学校であり、稲作、ヤギの飼育など環境教育、生命教育を積極的に展開する教育熱心さを川崎校長先生始め先生方皆さんのお話から感じました。

       

担任の大河原先生に案内頂き、目を輝かせた21名の元気な挨拶を受けて、私の自己紹介から始め、『海外生活から学んだ事』と題して以下の内容をお話させて頂きました。

・イスラム世界の話(イラン・イラク戦争)

・エレベーターとエスカレーターの話

・英国と言う国について

私が実際に経験したイラン・イラク戦争中の市民生活に関しての体験談、イスラム教徒の生活、イスラム教の宗派、イスラム教徒が守るべき事柄などを説明し、宗教・民族・文化の違いを認めた上で、お互いに相手と交流する必要性・重要性についてお話しました。また、大坂ではエスカレーターの右側に立って左側を空けるが、何故、東京では反対に左側に立つのかと言う切り出から、日本における左側通行の採用理由、世界的にはどちらが主流かなどを説明し、夫々の違いには固有の理由が有る事、長い歴史・習慣の中から生まれた文化になっている事を理解して貰いました。最後は、世界で一番長い駅名は?と言う質問し、“アメリカ”、“イギリス”、“ブラジル”と言う答を生徒のみなさんから貰いましたが、実は、英国のウェールズにある駅で、我々には簡単に読んだり、発音したり出来ないウェールズ語(ケルト語)の駅名であることを紹介。そこから英国(正式名称:グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)と言う連合国家の成り立ち、夫々の国毎の違いとお互いの歴史と独自の文化を尊重した上で今日の国家が形成されている事を説明し、今年日本で開催されるRugby World Cupには英国と言う国は参加せず、England、Scotland、Wales、Irelandが一つの国として参加することを説明しました。

最後のまとめとして、中学生となるみなさんには、あらゆる事に興味を持って欲しい事、相手を理解し、自分を理解して貰う努力を忘れず、自分の考えをはっきりと伝える勇気を持って欲しいとお願いしました。その為には、実際に見て、話して、経験することがとても大事だと伝えました。

小学生のみなさんの顔を見ながら、なるべく判り易くお話した積りですが、沢山の話題を盛り込み過ぎたのでは無いかと反省、もう少し話題を絞った方がもっと判り易かったのはないかと感じています。 また、私にとって今回の出講がとても貴重な経験となったことに感謝致します。

事前資料

 

知夏講師略歴

上智大学外国語学部英語学科入学後、フィリピンの教育支援NGOで活動を始めつつ休学しダンス活動のため渡米。帰国、卒業後は舞台を通じた国際交流を志し、各国NGOとタイアップし子供たちが出演する舞台のオーガナイズを開始すると共に、講演や英語講師などお活動も行い、2017年に proud story プロジェクトを開始。現在、(株) Tina interX 代表。

以下、知夏講師の出講報告です。

学校について:東新宿の都心にありながら公園に隣接し自然豊かな環境。近隣の団地の住民のお子さんが中心で、団地のためペットを飼えない家庭が多いため学校でヤギを飼い生徒さんが育てるなど多くの体験の機会を生徒さんに提供するための取り組みをなさっている。

授業内容:海外への興味をわかせ世界を知ることが目的の授業だが“日本のいいところをたくさん書く”というアイスブレーキング的なゲームから始め、世界に自慢したい日本のいいところをグループで考え発表しあった。その後、ミスコン世界大会での各国ミスたちとの出会いの話などを交え世界の国の多さ、日本では知られていない国がたくさんあることなどに気づいてもらい、そして日本にも自慢できることがたくさんあるように他の世界の国にもその国の人たちが自慢したい素敵なところがたくさんあることを伝えた。

素敵なところを知ることで自分もドキドキワクワクでき、そうやってその国に興味を持ち身近に感じることができたらそれは世界が仲良く少し平和になる第一歩になると思うという私の経験から感じた想いを伝え、それぞれの国の素敵なところをいっぱい知って世界と仲良くなってほしい、中学から本格化する英語も世界の人たちと仲良くなるには良いツールなので身につけてほしいと伝えて授業をしめた。

    

生徒さんの様子:授業前の休み時間からパワーが有り余っている様子だったが、そのおかげで授業に積極的に発言・参加をしてくれにぎやかなクラスとなった。

授業前に“国際”への関心を聞いたところ、尊敬する人は杉原千畝と言うようなすでに知識や興味のレベルが高い子もいる一方で海外にそんなに興味はないと素直に答えた子もいたが、いざ授業が始まるとあまり興味がないと言っていた子も積極的に参加してくれとても活気のあるクラスとなり、またアフリカの話をした後で最後にアフリカの映像を流すと皆が食い入るように画面を見つめ興味津々の感想が漏れてきた。子どもたちの中でのアフリカのイメージがポジティブなものとなった、変わったのではと感じる光景だった。

感想:この授業はシンプルに“外の国に興味を持って好きになるきっかけとしたい”ということを目的にし、興味レベルの様々な生徒さんにこれを提供するための内容としました。

またこれから中学生となりニュースや授業などでどんどん世界のことを学び知っていくはずと思い、何事も様々な面がありいいところも悪いところもあること、またメディアや教科書の情報は誰かによってまとめられていることにも少し触れました。

外の国を好きになって関心を持ち、出来ることなら仲良しの人が世界中にできれば、無関心・差別や争いから生じる問題も乗り越えられるという考えが私の活動の軸です。

そのためにどこかの国を見る時には問題ではなく素敵なところから見るようにしてほしい、また出来るだけ地元の人のリアルな声を聞けるよう“人と繋がる”ことを目指してほしいと伝えました。

この授業を通じて、生徒さんの中に“世界と仲良く繋がりたい”と感じる気持ちが芽生えていたらとても幸せなことです。

今回の機会を頂きました皆さま、誠にありがとうございました。

 

生徒感想文