横浜市立矢部小学校にて、湯澤講師がオンライン授業を実施しました。

3月15日、横浜市立矢部小学校にて、湯澤三郎講師による出前授業を実施、「世界で僕らしく、私らしく」と言うテーマで講演しました。

湯澤三郎講師略歴:(一般財団法人 国際貿易投資研究所 (ITI) 顧問) 1940年、横浜生まれ。 栄光学園中学・高校から早稲田大学 政治経済学部へ進学。 1963年、日本貿易振興会 (JETRO) に入職、米州課長、海外調査部長等を経て理事に就任。 この間、スペイン、エルサルバドル、ペルー、米国、ブラジル駐在。 エジプト通産大臣輸出振興アドバイザーを歴任。 1999年、在エルサルバドル特命全権大使、2003年帰国しJETRO 特別顧問。 2011年(一財)国際貿易投資研究所 専務理事 兼 『世界経済評論』編集長。 2019年 理事長、2021年7月より現職。

以下、湯澤講師の出講報告です。

世界で僕らしく、私らしく

今年も横浜市立矢部小学校の卒業生にお話しする機会を頂きました。同校の学校と家庭を結ぶ「きずなの会」を代表する阿部派遣委員長の肝入りのイベントです。やはり卒業生には胸を膨らませて中学に進学してもらいたいという気持ちを込めて、タイトルは昨年度と同じにしましたが、内容はご時世に沿ったアップデートを心がけました。オンラインだと生徒さんの目を見ながら、時に質問したりすることも叶わず、如何に40分間興味を引き付けて行くかが新たな課題です。

やはり中学は社会人への第1歩ですから、「何になりたい」をそろそろ考えることになります。そのためには、まず自分ならではの可能性を見つけること。そのためにはびっくりする、感動する経験を進んで広げてゆく。知識が広がるにつれて気づかなかった自分が発見できる。自分をより良く知ることができます。知ることは将来自分を大きく開花してゆくためのスタートです。能力や才能は人目を引く派手なものばかりではありません。例えば聞くことができるというのも素晴らしい才能です。何かに夢中になれるというのも才能です。大自然は緻密な秩序でできていて、どんなものにも無駄がない。人間も例外ではないのです。誰もが他でもないあなたを待っている場所があり、人がいます。勉強や経験を広げてゆく中で、そのひらめきや気づきが出てくるでしょう。

社会人として何かの仕事に就くことになりますが、今は何事も瞬時に世界につながる時代になっているので、必ず世界との関わりが出てきます。既に周囲には途上国からの人たちが働いています。レストラン、居酒屋、コンビニ、スーパーや小売店など。また日本の会社の売り上げの半分強が海外からで、これからも増え続けるでしょう。

ただ、頭に置いて頂きたいのは「何になりたいか」と並んで「どんな人になりたいか」です。これを忘れるといくら偉くなっても失敗する可能性が大きいのです。毎日のメディアが報じるスキャンダルや挫折を見ると、ますますその実感を深くします。

その点で大谷翔平選手が高1の時から、目指す人間像をきちんと描いていたとことに驚きました。勿論大谷君は一流の野球選手になりたいと思っていましたが、同時にこういう人になりたいという努力目標をはっきりと設定していました。アメリカ大リーグで最も価値ある選手、最高の選手としてMVPを獲得して、文字通り世界一の選手になりました。ただそれだけではなく、礼儀や思いやりを忘れず、きちんと挨拶をし、球場のゴミを拾う、審判さんへの敬意・感謝を忘れないといった、高1の時に書いた目標を忘れず常に実行している日常の態度が全米の野球ファンに絶賛されているのです。

誰もが大谷選手のようにアメリカ一、世界一になれるわけでなありませんが、世界が見る日本人は私たちが気がつかない点で評判はとても良いと言ってもいいでしょう。これは明治の開国後、日本を訪れた外国人が口をそろえて驚き、称賛しています。秩序正しい、清潔、礼儀正しい、知識欲が強いなどの特徴を評価しています。勿論、長所もあれば短所もあるわけで、自分の意見を言わず、何を考えているか分からないというのが典型的な指摘です。今の日本も当時言われていた特徴を引きずっていますが、社会の発展とともに日本人が気がつかない、あるいは当たり前だと思っていることやモノが実は、他の国々から見るととても価値のある、目を丸くするものなのです。あるテレビ局が訪日外国人が驚き、すごいと思うものを調査しました。1位は電車。清潔で時間正確に運行される様子にびっくりです。以下2~10位はトイレ(どこでもその清潔さがすごい)、温泉(快適、おもてなし)、自動販売機(多種類を提供し一つも故障がない)、、ロボット技術(世界最大の生産国)、庭園(日本式の簡素な美)、治安の良さ(夜、女性や子供が外出できるとは!)、宅配便(間違いなく希望時間帯に届く)、回転寿司(便利、美味しい、安い)、着物(他国にないデザインと優美さ)。

これらは私たちには日常当たり前のものなのですが、外国人には「びっくり、すごい」ものなのです。だから日本の評判を支えるのは、総理大臣でも政治家でもなく、町で働く普通の人たちが自分の仕事をきちんとやる、お客さんや関係者を大事にする心がけが素晴しいからなのです。写真にあるように消防士さん、電車の車掌さん、駅員さん、店員さん、新幹線の清掃係りの皆さん、コンビニの店長さんなどを例に挙げました。

近い将来、夢と希望を実現することを目指して色々な経験に出会うでしょう。自分一人では何事もできない、必ず周囲の人々の助け、協力を頂いて1歩、1歩近づくでしょう。

その時に大事なことは、自分には必ず自分なりの才能、能力があると信じること。何もないと思っても、例えば誰でも笑顔を誰かに送ることはできるはずです。その送った笑顔が必ず少し大きくなって自分に戻ってきます。戻った笑顔は自分のなかで発酵して膨らんで行き、心の財産になります。周囲の人々との笑顔の交換を通して、夢と希望の実現が近づきます。

日本は今、昔のような元気を失いつつあります。誰かが日本を元気にするのを待つのではなく、是非皆さんが日本を元気にしてください。誰もが自分らしく、可能性を発揮できれば、それが自分と社会と世界のためになるのです。

夢と希望は必ず実現すると言う人は少なくありません。大自然も後押ししてくれるという人もいます。実現の過程では心が折れたり、気力がなくなったりすることもあるでしょう。そういう時は、僕の経験では「大宇宙・大自然を見つめてメッセージを聞き取る」ことができるのです。草花や虫たち、海・山、空と鳥。猫や犬からも聞き取れます。ベストセラーを書いた解剖学者の養老先生は「たかが猫、されど猫。私は猫から学んで生きてきた」と言っています。

どうぞ人の話をよく聞き、挨拶と「おめでとう、ありがとう、ごめん、よろしく、どうぞ」の心を忘れず、周りの人々を大事に考えてください。これができるかできないかは年齢を関係ありません。早いうちから心がければそれだけ早くその人は輝きます。輝く人を周りの人は自然にに押し立ててくれます。

どうぞ胸を張って中学に進んでください。夢と希望実現の第1歩を進んでください。

児童の感想文