東京都立日野台高等学校へ4講師を派遣しました。

この度、当校の探求委員会の佐藤知美教諭とのご縁により、3月20日(月)に当会から「1学年 総合的な探求学習(人間と社会)講演会」に4名の講師を派遣することになりました。

講演会の目的:

① 「人間と社会」の集団や社会とのかかわりに関する領域の「国際理解、国際貢献」について、国際  経験を積んだ社会人の知見からの学びを得る。

② 多文化共生の視点や素養をもったグローバルシチズンとしてのマインドを育てる。

上記のような講演会の目的に沿った講師を選定いたし、各講師と協議のうえ以下のようなテーマで実施しました。

芹澤講師:「キャリア教育と国際感覚」

河上講師:「異文化・多様性への理解とグローバリズム」

藤縄講師:「国際社会で働くこと、国際人としての将来に向けて」

知夏講師:「世界と自分の心を躍らせる働き方」

なお、依然コロナ禍であることや当校の施設の関係もあり、3時間目と4時間目を使用して対面式とオンラインの併用で実施しました。

対面式:3時間目 芹澤  健 講師    オンライン:3時間目 藤繩 俊之 講師

4時間目 河上 芳明 講師          4時間目 知夏 七未 講師

担当の佐藤先生によると、「講師の皆さの様々なテーマによる大変興味深い講演は、1年生の生徒はもちろんのこと、1年生の担当教員にとっても有意義な講演になった」とのコメントと感謝の意を伝えてきました。

講師派遣委員長

講演会開催要項

 

河上芳明 講師

     

講師略歴:1948年生まれ   学歴 1971年 3月 神戸大学経済学部卒                     職歴   1971年 4月 大和銀行入行 ダイワ・バンク・キャピタル・マネジメント(ロンドン)社長、 国際部副部長、執行役員信託財産運用部長を歴任 2001年12月  大和銀信託銀行常勤監査役         2003年 2月  シティトラスト信託銀行常務取締役運用本部長、2004年12月  シティグループ・アドバイザーズ㈱ 代表取締役社長  2005年12月  ウェスタン・アセット・マネジメント㈱ 代表取役社長         2009年 4月~2017年3月 大阪電気通信大学 金融

講演テーマ: 「異文化・多様性への理解とグローバリズム」

  • 一昨年秋に文京八中から「異文化・多文化との共生」というテーマを与えられて授業を実施、今回日野台高からの依頼も同内容でとのことでしたが、タイトルを「異文化・多様性への理解とグローバリズム」と改め、資料はほぼスクラッチで作り直しました。
  • 対象は1年生が約160名、多目的室に生徒が床に「体育座り」で密集という形式でした。
  • 授業は用意したパワポ資料(ファイル添付)をスライド投影して行い、終了後質問を促しましたが全く反応はありませんでした。
  • 一応WORDで原稿を用意していましたがスタートが10分近く遅れたため時間の関係でほとんど使用せず、終盤はかなり急ぎ、端折りました。
  • 生徒は概ね熱心に聞いてくれていたように思いますがメモも筆記具も持たず、事前の資料配布もないという状況。投影と話だけで普段なじみのない内容がどれぐらい伝わった/残ったかやや疑問です。
  • 学校側が何を期待したのかによりますが、こういう形式・対応ならば細かい資料を準備するより、むしろ大まかなテーマだけ決めて雑談的に、できればインタラクティブに進める方が講師も生徒も幸せだったかもしれません。

資料(河上講師)   資料解説(河上講師)

アンケート回答(河上講師)

 

芹澤 健 講師

  

略歴:1976年生まれ。 学歴 一橋大学商学部商学科卒  職歴 2005~2008年 伊藤忠中近東会社ドバイ駐在  中東諸国・アフリカ諸国におけるエネルギートレードビジネスに従事  2011~2013年 伊藤忠商事ロンドン事務所駐在、欧州・アメリカにおける原油・石油製品・LPGのトレードビジネスに従事  2014~2020年 伊藤忠商事(株)東京本社勤務  2020年4月~ (株)ジャパンガスエナジー社に出向 供給部門 海外部 LPガスを海外より輸入 国内顧客に販売

講演テーマ: 「キャリア教育と国際感覚」

3月20日(火)、10:35より、日野台高校1年生約160名の生徒さん向けに出前授業を行ってきましたので、以下、ご報告致します。

全般的な印象として、当方からの内容が、50分の短時間の中で、総花的でやや的が絞り切れていないものに生徒さんには写ったようで、期待していたような反応は得られなかった。想像するに、生徒さんの関心事は、より自身の大学受験を意識しはじめ、どのような進学先があるのか、現実社会と進学先で学ぶこととの関係性など、国際関係論、比較文化論より具体的な身近なものの方に関心があった模様で、そこに的を絞りきれず、やや悔やまれる結果となった。この点は、時間とテーマの絞りこみ、お客さんである生徒さんの関心事を事前に担任の先生等とのヒアリングをするなどして、もう少し丁寧な準備が必要だったと思われた。生徒さんの反応をみつつ、適宜スライドを使えばよいと考えていたが、流れをつかみきれずに終わってしまった印象。

授業内容は、添付のスライド群を必要な個所のみ使い、①当方の学生までの体験②中東、イギリスでの海外駐在経験③日本と諸外国の働き方の差④日本人として改善の余地がある点、について話をした。特に、キャリアプランをどう描くべきか、という点に話の時間を割いたつもりであり、もしそのテーマが学生さんの求めていることだったのであれば、それに収斂できるよう、全体の構成を整えて臨むべきであった。

斯様な背景でありつつも、興味を持って話を聞いてくれていた生徒さんもいらっしゃり勇気づけられた。特にやや強調気味に話した、自分は将来どうしたいのか、というある意味答えのない永遠のテーマについて話をしている際に、興味深い表情をされていたことが印象的であった。

日本の受験制度は、大学入学までの間に、基礎的な知識を効率よく詰め込むことを目的とすれば、世界でも屈指の成果を出している一方で、入学後、また社会人になってからの伸び悩みは、非常に対称的なものとなっていると自身は感じている。修士、博士という学位者数の問題もさることながら、本人がどうしたいのか、学校に行けば、会社に行けばそれが見つかるのではないか、という淡い期待が見事に裏切られ、意志のあるキャリア形成をできずに終わる場合が多いとみている。

もちろん仕事や社会とのかかわり以外のキャリア形成もありうるが、それは例外的であり、今回対象とした生徒さんのめざすところではないと考える。受験勉強という差し迫った知識詰め込みの重労働を前にした緊張感を前に、自身の経験を振り返っても、そんな先のこと考える余地もないといったところが本音だろう。ただ斯様な講演の機会を与えていただき、何ができるのかを考え、どうしてもそのような先々の話を少しでも聞くことに意味があるのではないか、当方にできる切り口の一つではないかと思い、そのようなテーマにやや力点を置いて話した。

会の延長のような話になるが、日本の教育の詰め込み教育の良さは保ちつつ、生徒に、将来どうしたいという意思を持たせる、考えさせる場を作ることが非常に重要だと考えており、興味のある学習単元のテーマ掘り下げ、自分のためでなく他者、社会への貢献など、通常の時間割の枠をこえた経験が大学卒業までの間にどうしても必要だと思う。壮大な夢であり、自らの至らなさを痛感したものだが、今回のような活動がわずかであってもプラスに働けばと思う。斯様な機会を与えていただき、感謝申し上げるとともに、日野台高校生徒さんの輝かしい未来を祈念しております。

以上

資料(芹澤講師)  アンケート回答(芹澤講師)

 

知夏七未 講師

 

略歴: 学歴:上智大学英語学科に入学、国際政治経済学を専攻  フィリピン教育支援NGOで活動を開始  休学し米国ダンス留学、現地でダンス活動を開始  職歴:日本代表として5回のミスコン世界大会に出場  外務省文化事業等で国内外でのパフォーマンスを実施  国際交流イベント企画や講演会に登壇  英語教師として2年間レギュラー番組を持つ  舞台を通じた国際交流を志し各国NGOとタイアップし子供たちが出演する舞台のオーガナイズしproud storyプロジェクトを開始       2017年に株式会社Tina interX を設立し代表に就任  2017年に世界の女性起業家50人のアワード(Influential Womenof the World )に選出  上智大学非常勤講師

講演テーマ: 「世界と自分の心を躍らせる働き方」

日野台高校にて、1年生4クラスの授業をオンラインで担当させていただきました。

高校1年生の3月という進路を考えだすタイミングであろうこともあり “世界と自分の心を躍らせる働き方”というテーマでキャリアの考え方についてワークショップ型のお話をさせていただきました。

各教室に投影していただくかたちでのオンライン授業でこちらからは生徒さんの様子がほぼ見えなかったため心配もありましたが、3つのワークそれぞれに皆さん真剣に取り組んでいただいたと聞き嬉しく

思っています。

AIの普及など急速に社会状況や働く環境が変わる中で、今の10代の方々のキャリアは無限の可能性があると同時にこれまでのように職業名で括ることが難しくもなると思います。肩書ではなく本質的な目標や夢をみつけて、今世の中にあるキャリアだけにこだわらずしなやかに進んでいっていただけたらと思いますし、今日の授業がなにか気づきになって居たら幸いです。

どうもありがとうございました。

アンケート回答(知夏講師)

 

藤縄俊之 講師

  

略歴:1961年生まれ  学歴 1985年3月 東京工業大学大学院修士課程修了  職歴 1985年~ 2019年 油田サービス企業の研究開発部門において、日米欧各地の技術開発・研究拠点で、油田探査・開発のための技術開発・機器製造業務に従事。また多様な国籍のスタッフからなる組織のマネージメントに携わる。  海外拠点では米国(ヒューストン)、ノルウェー(オスロ)、フランス(パリ)の3カ国に通算19年勤務  2021年3月より国立天文台にて国際協力科学プロジェクトである次世代超大型光学赤外線望遠鏡建設プロジェクトの一員として、予算管理、海外の関連組織・日本国内の協力企業との連係業務の調整などに従事している。

講演テーマ: 「国際社会で働くこと、国際人としての将来に向けて」

東京都立日野台高等学校での一年生を対象にした探究・国際理解教育講演会にオンライン形式での講義を届けるという形で参加しました。私が担当したのは1年5〜8組の4クラス。それぞれのクラスとZoomで繋げて「国際社会で働くこと、国際人としての将来に向けて」というテーマで講演を行いました。

まず、国際社会で働くことの一例として資源・エネルギーの話をしました。 エネルギー利用の様々な形態、日本においては一次エネルギーの大半を輸入に頼っている現実、二酸化炭素の排出を削減するための方策として進められている水素利用と水素供給に関する日豪協力プロジェクトの紹介(水素も輸入)などを通して、日本特有の問題としてのエネルギー輸入、即ちエネルギー確保のためには国際社会の中での協働が欠かせないということを資源エネルギー庁の統計データなどを見せながら説明しました。

次に、日本の外で(または、日本国内で外国の人と共に)働く上で 、様々な歴史・文化・社会的背景を持つ人々の考え方・価値観の違いを理解、尊重することが大事だということを自身の体験に基づいて話しました。多様な考え方、社会背景を持つ相手の意見を分かった上でしっかりと自分の意見を主張することが重要だという点を強調しました。また、仕事以外のことで、海外では日本の歴史や文化に興味を持っている人はたくさんいること(文学や映画・音楽だけでなくマンガやアニメ、ゲームなど)をパリで毎年行われているJapan Expoの様子を紹介しながら説明しました。

最後に、専門分野(自分の好きな分野)に徹底的に打ち込んで継続すること、自分の好きな分野について深く追求するのと同時に日本のことを広く知ること(国際社会で他の国の人達と協働する中で、私たちが他の国のことを理解すると同時に他の国の人たちに日本の事を理解してもらう、そのためには私たち一人ひとりが日本の大使の役割を務める)、それから世界の地理、歴史、文化を知る事(試験のための詰め込み勉強ではなく、学校を卒業して、社会に出てからも続く学びとして)をお話しして、講演のまとめとしました。

各クラスへの配信という形で、講義を聞いている生徒さん達の表情を見ることができなかったので、どのように受け止めてもらえたのかをリアルタイムで把握できなかったのが、ちょっと残念でした。生徒の皆さんからの感想を聞かせてもらえるのを楽しみにしています。

アンケート回答(藤縄講師)