特別フォーラム「世界史的転換点に立つ日本の針路」を開催しました。

特別フォーラム 「世界史的転換点に立つ日本の針路」

講師:寺島実郎氏 一般社団法人日本総合研究所会長・多摩大学学長

NPO法人「国際人をめざす会」では、毎年恒例となりました寺島実郎氏の特別講演会を2023年3月27日に永田町星稜会館にて開催致しました。当日は、約90名の会場参加者を前に、寺島講師の熱のこもった2時間の講演会となりました。

     

講演会の内容に関しては、2023年が「コロナから3年、ロシアのウクライナ侵攻から1年」世界を取り巻く環境の激変の中で、日本の立ち位置は低迷しているが、今置おかれている「時代認識」から、我々自身が日本の針路にどう立ち向かってゆくべきかとの課題を問われていると受け止めました。 具体的には、明治維新から第二次世界大戦までの77年間、戦後の1945年から2022年の77年間、次に2023年から77年後は、2100年となり、今までの77年間を振り返り次の77年にどう立ち向かうか考える必要がある。 日本経済の低迷、技術力の低下に対し、インドとアセアン5国の成長率が高く堅調、台湾の経済力は半導体を主体に大きく進捗、反面、ウクライナ侵攻によるロシアの実体経済の弱体化、中国を見る際には、「ネットワーク型世界観」として、中国及び全世界にいる9千万人を超える華人、華僑ネットワークとの相関の中で捉える「大中華圏」との観点が大事である。注目すべき点として、米中間の貿易は、今や日米間の3倍に達しており、その源流が津軽海峡を経由する「日本海物流」がメインとなっている。 嘗ての「大英帝国」は衰退しているが、英国のソフトパワーとエンジニアリング力は、「ユニオンジャックの矢」として、ロンドン、ドバイ、インド、シンガポール、シドニーと繋がり、特にシンガポールでは、大中華圏と接していることに留意する必要あり。

更に、ウクライナ史に秘められたユダヤとコサックのネットワーク、微妙な動きを示すイスラエルの国家戦略の動向など広範に触れながら、日本の針路を語る際には、DXの産業化、グリーン等のイノベーションの重要性、更に、食と農、医療と防災などの基幹産業化を進める「総合エンジニアリング力」が今後の鍵となる、海外ではアジアダイナミズムにどう取り組むかが課題と指摘された。

最後に、今後の「国際人をめざす会」の活動に関し、コロナで世界が分断された一面もあるが、引き続き国境を越えた目線で世界を捉える必要がある。改めて、国際人とは何か?

   

再考する機会でもある。国家の壁の持つ矛盾、不条理に苦しんでいる人たち、在日研修生など日本に来ている外国人の抱えている問題にどこまで踏み込めるかなど、他の団体と連携して力を合わせながら向き合っていくことにより、一味違う社会的に活動に切り込んでゆくことにより、この会に参加している人たちの意識が変わってゆくのではないかとの提言がありました。

以上