国際人をめざす会主催「特別フォーラム」が開催されました。

3月30日水曜日午後6時半より、永田町の星陵会館に於いて、当NPO法人の会員でもあります日本総合研究所会長・多摩大学学長の寺島実郎氏の特別講演「日本再生への視界を拓く — 経済・産業の未来構想」が開催されました。

 

 

 

 

新型コロナの感染者数が依然として減少しない厳しい状況ではありましたが、120名の方にチケットをご購入いただき、最終的には70名の方にご参加いただきました。

2021年に引き続き2022年も受付前の検温、アルコール消毒、マスクの着用、座席間隔の確保、恒例の懇親会の中止などの感染対策が講じられました。

講演は参加者に配布されました寺島氏編纂の最新資料「時代認識2022年春号」のデータを基に、日本経済の過去20年の実態、世界のGDPシェアの推移、金融ビジネスの変容、資本主義の新局面(産業資本主義から金融資本主義、デジタル資本主義(DX)へ)などを中心にお話をされました。

日本経済の世界のGDPに占める比重は2000年に14%であったものが2020年では6%に減少しています(過去の最大は1994年の17.9%)。過去20年で主要産業の生産・販売・供給は軒並み20%を超えて減少しています。国民生活の面で見ても現金給与総額が8.5%減少、全世帯の消費支出も12%減少しています。この20年での日本の埋没、地位の低下、またそのような変化への対応がなされていないことを具体的な数字を基に強く認識させられました。

   一方世界に目を転じますと、2000年と2020年の世界のGDPシェアの比較では、アジアが7%から25%に上昇、米国が30%から25%に減少、ロシアは1988年(旧ソ連時代)に8%であったものが2000年には1%に減少、2020年でも2%にとどまっています。このデータからアジア地域の大きな成長、ロシアの経済不振が見えてきます。金融ビジネスも金融工学の発達により大きく変容してきており実体経済と金融経済の乖離がすすんでいます。

資本主義も新局面に入り、冷戦の終焉後、産業資本主義から金融資本主義・デジタル資本主義(DX)の時代に入りました。

このような時代の変化にさらされている中、日本が埋没から再生するためには産業基盤の再構築、新しい産業構造の創生への挑戦が必要です。そのためにはファンダメンタルズである食と農の産業基盤の再構築、また医療・防災産業の基盤産業化などが経済・産業の未来構想にとっての重要なファクターとなります。尚、当日は、講演時間が大幅にオーバーする中で、寺島講師からロシアのウクライナ侵攻問題についても解析、説明をいただきました。

新型の感染症(コロナ)の影響を受け世界の経済、人々の生活のありようが大きく変化をしていく中でその変化に対応できる人材の育成がますます必要とされます。今後も当会は未来ための人材の教育・育成の一翼を担い、社会貢献の役割を果たしていく組織として活動の拡大をめざします。

以上(文責 岩﨑守)