町田市立真光寺中学校主催の「国際交流の日」に2講師を派遣しました。

7月15日に開催された町田市立真光寺中学校の「国際交流の日」に、当会は昨年の実績が評価されて、2年連続で講師2名を派遣することになりました。

同中学校の「国際交流の日」とは、36年前に東京都からモデル校として指定され開始した経緯があり、同校の伝統ある最大のイベントであります。

その目的は、「世界の文化・伝統・習慣などを学び考えることで日本への理解を深め、自分たちと世界の人たちとのつながりや生きることについて考える場とする」ことです。

1年生のテーマ「アジアの国々を知ろう」

2年生のテーマ「世界の国々を知ろう」

3年生のテーマ「日本の文化を知り、世界とのつながりを考えよう」

という各学年のテーマに基づき、当会をはじめ「地球の木」「フリー・ザ・チルドレンジャパン」「青年海外協力隊」等を含む合計7団体(個人)から講師が派遣されて8の分科会で出前授業が同時開催されました。

当会からは2年生の2分科会(1分科会38名)に2人の講師が以下のテーマ(講座名)にて出前授業を実施しました。

野瀬 哲郎 講師:「多文化共生(外国の文化・暮らしの違いに触れる)」

仲  栄司 講師:「アジアの中の日本から ~南洋の空気感~」

各講師は、グループディスカッションを通じた発表やより多くの生徒に質問したりするなど双方向の出前授業を心掛け、クラスを盛り上げました。

終了後、生徒たちは「将来、海外で勉強したい」「海外で仕事をしてみたい」など発言して講師を喜ばせました。

いずれの講師の出前授業は、先生や生徒たちの好評を博しました。

講師派遣委員長

野瀬講師略歴: 横浜国立大学工学部金属工学科卒 1975年、三井物産(株)に入社し、中国(北京・上海)に合計約14年、オーストラリア(シドニー)に4年駐在 2011年より、中国(寧波・広州)の関係会社に出向駐在を経て2016年に退職 同年、特殊金属エクセル入社、海外事業を統括、その後コンサルティング会社にて中国・東南アジアに展開 2023年より、日本語学校にて若手の外国人に対する教員としての活動を開始

以下、野瀬講師の出講報告です。

日時: 2023年7月15日 (土) 午前 10時00分 ~ 11時00分

講義場所  : 真光寺中学校

講義テーマ : 『多文化共生(外国の文化・暮らしの違いに触れる)』

  • 講演の様子:

町田市にある真光寺中学校で、今回が36回目となる同校の伝統行事『国際交流の日』のプログラムの分科会で、2年生(2年1組)の約20名を相手に出張講義を行いました。生徒達は興味を持って聞いてくれて、後半の自由対話では、数名が将来海外で活動したいと言う力強い意思表明もあって、大きな手応えを感じました。中学2年生がどんな意識なのかを知ることができて、私自身も大変勉強になりました。

    

  • 講演内容:

・ テ-マであるグロ-バル社会での多文化共生は、2020年から3年余り続いたコロナウィルスの世界的な蔓延で、世界中の国々が門戸を閉ざす、グローバル化とは180度も異なる状況に陥っていましたが、今年に入って徐々に国を越えた移動が再開され、コロナ前の状況に戻りつつあります。そこで、今回の話は、2019年12月までのコロナウィルス蔓延以前の状況を紹介し、今後はポストコロナの時代を皆で思い描いてみましょう、と言う形で話を進めました。

・   発表要旨は下記の4項目。

(1) グローバル社会では、文化の異なる外国人との共生は必要不可欠。

(2) 国が違えば文化の違いは当たり前。

(3) 異文化を知り、それを尊重することが大切。

(4) 日本は今後益々、少子高齢化が進み、単一文化に留まることでの将来はありえない

・   但し、この3年間は、新型コロナウィルスの感染拡大がこれを阻んでいた。新型コロナウィルスは、世界中の多くの人々の命を奪い、健康を脅かし、経済・社会・教育、そして家庭まで大混乱に陥れ、仕事のやり方、価値観、これまでの常識、しきたり、文化まで変えてしまった、本当に恐ろしいウィルスです。このウィルスを撲滅することはとても難しく、ウィルスとは“共生”せざるを得ないとの認識。

・   一度確立した世界のグローバル化、世界中に広がったグローバルサプライチェ-ンは、後戻りすることはできない。今後どんな形に変化するか工夫が必要となる。

・   日本の少子高齢化は今後益々深刻になる。日本の人口は2011年から減少に転じて、2050年には1億人を下回る。日本の平均年齢は48.8歳(2022年)で世界第3位の高齢国。国力は人口に比例することから、今後は海外からの移民を受入れたりすることで、文化の異なる外国人との共生が必要となる。

・   結論として

➢ 日本の常識が世界の常識とは限らない。日本の文化が世界から異質に感じられることも多々ある。

➢ 先ずは世界を知ることが大事。多文化・異文化に目を向けよう。その為には、海外の人達との積極的な交流を図ろう。

➢ 世界のグロ-バル化と、日本の少子高齢化は待ったなし、これからは多文化との共生が必要になる。

3. 講演後の感想:

中学2年生は、14歳で多感な難しい年代と言われ、どの様に話を進めたら良いか、少々手探り状態でありました。しかし、それも杞憂に終わり、とにかく真光寺中学の生徒達は、とても素直な良い子が多く大変気持ちよく授業を進めることができました。また、私の方から『将来、海外で活躍したい人はいますか?』との問いかけに対して、数名の挙手があり女子生徒の一人は、海外でその地域に貢献できる仕事がしたいとの素晴らしい希望を表明。またあと二人の男子生徒は、サッカ-でイタリアのセリエAで活躍したいと、またもう一人は国際的なピアニストになりたいとの夢を語ってくれました。

今回の出講で、中学2年生と交流できたことは、大変に有意義で、また、彼らから大いなるエネルギ-をもらうことができ、久しぶりに心地よい後味が残りました。

ご尽力頂いた真光寺中学校の関係者の皆様に心から感謝いたします。

生徒感想文 HP掲載(野瀬講師)

仲講師略歴: 1978年 上智大学外国語学部ドイツ語学科入学 1982年 日本電気㈱入社(欧州事業に携わる)1986年 NEC ドイチュラント社出向(セールスプラニングマネジャー)1990年 NECイタリア社出向(コーポレートプラニングマネジャー)1992年 帰任(アジア事業に携わる)1998年 NECフィリピン社出向(社長)2000年 帰任(携帯電話、サーバー事業に携わる)2015年 NECアジアパシフィック社出向(スマートエネルギー事業責任者)2018年 帰任 2019年 日本電気㈱退社、NEDO入社 2021年 NEDO退社、神田外語キャリアカレッジ入社 代表に就任

以下、仲講師の出講報告です。

日時: 2023年7月15日 (土) 午前 10時00分 ~ 11時00分

講義場所  : 真光寺中学校

講義テーマ : 『アジアの中の日本から ~南洋の空気感~』

  • 講演の様子:

町田市にある真光寺中学校で、今回が36回目となる同校の伝統行事『国際交流の日』のプログラムの分科会で、2年2組の約36名の生徒に対し、出張講義を行いました。

今回は、アジアの中でも東南アジアの11か国に焦点を絞り、グループで話し合ってもらいました。東南アジアの国々は生徒達にとってなじみが薄かったようですが、それぞれのグループごとにイメージを絞り出し、思ったこと、感じていることを吐き出してもらいました。どこまで生徒のみなさんが東南アジアのイメージを掴めたかはわかりませんが、こういう機会を学校側で設けていることはすばらしく、双方向のやり取りと自身の体験談を織り交ぜて授業を進めるよう心がけました。

    

  • 講演内容:

・全般

アジアと言っても東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジア、西アジアとありますので、今回は東南アジアに絞って話を進めました。中国や韓国といった東アジアはなじみがあり、一方で反日感情が強いと思います。しかし、東南アジアの国々は日本と共通部分があり、日本人のことを尊敬している国が多いです。これからの日本は、東南アジアの国々ともっといろんな面で連携していくことで、日本のよさも発揮できるのではないかと私は思っています。

今回の授業で、少しでも東南アジアに親近感を持ってもらえればとの思いから、また、グループ討議をとおして東南アジアのことを少しでも考えてもらえたらと思い、授業を進めました。

授業内容は主に以下のとおりです。

(1) アジアについての概要を講義

(2) 日本と東南アジアの関係の歴史を大雑把に説明

(3) 写真を提示してどこの国かを当てるクイズを実施

(4) グループごとに東南アジア(のイメージ)について協議、発表

(5) グループの発表に対して感嘆にコメント

(6) 東南アジア諸国の概要と特徴を説明

(7) 私自身の東南アジアへの想いと体験を提示

・東南アジアの国々に行ったことのある生徒は一人くらいしかおらず、なかなかイメージが掴みづらかったようです。写真を提示してクイズをしましたが、「マーライオン」はシンガポールとわかっても、他の写真(8つほど)はなかなかわからなかったみたいです。

・そのあと、6つのグループそれぞれで東南アジアのイメージを話し合ってもらいました。暑い、島が多い、いろいろな宗教がある、雨が多い、市場が多い、発展途上である、といった特徴が指摘され、指摘されたことに対し、私の方から体験談を交えてコメントを述べました。

・たとえば、「雨が多い」という意見に対しては、シンガポールで経験した「スコール」のことを話しました。スコールはとても激しいが短時間で止むので、地元の人はその間はじっと待って外に出ないこと。それが日常のこととしてやりすごしていることを話しました。

・「島が多い」という意見には、実は世界で島の数が一番多い国と二番目に多い国がいずれも東南アジアの国であることを述べました。インドネシアが1万4千ほどで一位、フィリピンが7千ほどで2位です。

・「市場が多い」という意見も混沌とした東南アジアの屋台の雰囲気をいい得ているとコメントしました。人が多く、ごちゃごちゃしている雰囲気は東南アジアの風景の特徴です。渋滞も多いです。

・グループ発表と私からのコメントのあと、東南アジア諸国の特徴を経済力、人口、宗教、言語、民族の切り口からまとめた表を示し、それぞれの国の特徴を簡単に説明しました。グループディスカッションであがった「いろいろな宗教がある」や「発展途上」といった意見も表で確認することができました。

・最後に私自身が東南アジアで一番感じる特徴で、気に入っているのは「空気感」であることを述べました。それは匂いや暑さからくるものですが、そこに解放感があるのです。さらに具体的に詩人の金子光晴の『西ひがし』の文章を紹介し、金子光晴は東南アジアの空気に触れて、十年間できなかった詩を取り戻し、復活したことを話しました。また、私自身の俳句も披露し、バナナさえあれば何とでも生きていける、という東南アジア(特にフィリピン)の人々の生き方についても述べました。

3. 講演後の感想:

授業のはじめに生徒の一人が代表して私を紹介してくれました。また、授業の終わりにも生徒の一人が代表してカードをくれました。そこには、「スコールはたいへんだけど、現地に住んでいる人からしたら普段のことだということが印象に残りました」と具体的に私の体験談のことが書いてあったのが印象に残りました。

生徒のみなさんには、今、東南アジアのことにあまり興味がなくとも、今後どこかで今日の授業を思い出してもらえれば嬉しく思います。私自身の中学二年生のときを思い出してもシンガポールやマレーシアといった国のことは何も知りませんでした。「マーライオン」を知っているだけでも、彼らの方が昔の私より知っていると感じます。将来、実際に訪問する機会があればいいなと思います。そのとき、私のいう「空気感」を一人一人が自分で感じ、どういう感想を持つか楽しみです。また、今回の授業で一人でも東南アジアに興味が出て、将来行ってみようという生徒が出てくれば嬉しいです。いっしょに東南アジアのことを話せる日がくればいいなと思います。中国や韓国だけでなく、他のアジアの国とも日本が深く関わっていくことで、欧米に偏りがちな日本人の考え方から少しでも脱皮できる気づきが得られるのではないかと思います。多様な価値観が求められる時代。生徒のみなさんが大いに飛躍されることを祈念します。

ご尽力頂いた真光寺中学校の関係者に心から感謝いたします。

生徒感想文 HP掲載(仲講師)

アジアの国を知ろうV4(仲講師)