1月26日(金)国際人をめざす会第5回国際人教養講座をオンライン開催しました。
今回の講師にはキャノングローバル戦略研究所主任研究員の小黒一正氏をお招きして「少子化対策と医療財政改革のヒント」というタイトルで講演していただきました。関連の薄いように思われる二つのテーマがリンクしていることを解説いただき、日本の少子化対策や政策の問題点の指摘や、改革のためのヒントなどについてお話しされました。
後半は、医療財政改革の実態と小黒講師の考える施策について語られ、改善のためのヒントを提案されました。短時間でしたが盛りだくさんの内容になかなか理解が追いつくのに苦労しましたが、我が国にはまだ望みが残されているようにも感じられるお話でした。
講演後、参加者から多数の感想を頂きました。その中からいくつかご紹介させて頂きます。
① 日本が直面する最大の問題、少子高齢化について、医療財政の観点から分析され、具体的な提案を提示され、大変勉強になりました。ありがとうございます。少子高齢化問題は昔から問題にされ、数々の施策が提起されました。東京一極集中問題も、財政構造問題、マイナンバーカードに象徴さるるデジタル改革、産業構造問題、どれも政治と官僚の弥縫策に終始し、根源的な取組みができていないと思います。どこに問題がありますか?制度?組織?権限?ご教示下さい。
② 少子化問題は、多岐に亘る課題ですが、取り分け医療財政分野は年金・医療・介護の給付のあり方と言う身近な問題であるにも関わらず、分かり難いと感じます。社会保障制度の全体像と問題の所在を分かりやすく説明し、その上で、小黒講師の指摘する骨太の改革案を示し、負担の必要性を国民に納得して貰う段取り、と努力を政府に期待したい
③ 人口問題をマクロ的・政策策的な面からとらえた講義で、具体策を考えるにあたっての前提の話だったと思います。もっと具体的な話を聞きたかった。若い人たちが、子孫を残したいと思える社会がどんな社会なのか、政治家・自治体・シンクタンク・一般庶民が真剣に考えてゆかなければいけないと痛感しました。私の息子は48歳ですが、独身で土日はゴルフ三昧です。独身者ばかり多くなり、その老後を社会で面倒を見ることになると莫大な金と人手が必要になります。独身者が有料老人ホームに入る金を持っているからそれで良いということにはなりません。ホームで働く人がいなくてはどうにもなりません。若いカップルが子供を産みたくなる環境(大いに議論の要あり)を整える必要があります。同時に、生殖能力のあるカップルには二人以上の子供を産む義務があり、そうしないと社会が成り立っていかないことを理解してほしいと思います。生殖能力はないが多少の金がある老人が何をすべきか、も考えるべきかもしれません。
④ 今日は結構数値やグラフが細かくて読みながらでは話になかなかついていけませんでした。日本の少子化対策として提案通りに第三子に一時金1000万を出してもその効果には限界があると認めていられますね。正直データーから計算上想定される減少傾向を金銭的な援助で組み止められるのだろうか。この減少傾向、子育てよりも世の中には個人的に男女とも、もっとやりたい事があふれて来ていて、それに使う時間が欲しいと思うことが大前提としてあるのではないだろうか。私の未婚の娘を見ていても結婚の意思は全くなく、人生を謳歌しています。かって、アメリカのニューヨークで大停電があり、やることがなく、その日の10カ月後には記録的な出生率だったとの笑い話が有名。貧乏人の子沢山は今や死語か。日本の金持ちの出生率も比べてみて、その差が歴然ならば金銭的な援助もうなずけます。示されたデータには一人っ子、二人、三人の比率とその経済的環境との関連もなかったので、3人目は金銭的な援助を必要とするグループなのかもはっきりしない。もし一人っ子が多いならまずは二人目を生んでもらうための施策が先ではないか。扶養する子供の教育費と医療費をすべて無料としたら幾ら掛かるのだろうか。子育てに金銭的な心配や不安がないこと以外に、主婦に時間的な余裕を与えられる施策もあってしかるべき。米国滞在中に長男が生まれ高校生のベビッシターにどれだけお世話になったことか。金銭より夫婦に自由な時間が持てる社会環境づくりこそが子育ての負担軽減となって少子化対策に有効な手段となり得るのではないでしょうか。一方で、今からでは結局出生数50万人にいずれ3~40年後にはならざるを得ないとすれば、65歳以上が3割4割の老人国としても成り立つ(国民の大多数が健康で幸せだと思う)国作りの施策トップ5はどんなものかも聞きたかったです。ここに至り、老人大国の先進国としてトップランナーが後続の韓国や中国にその国造りを示すことが出来るか見ものだが、我々すでに傘寿を過ぎたものには頑張って欲しいというしか言葉がありません。日本のシンクタンクの活躍、もっと活発な論戦と分かりやすい、身近なビジビリティが望まれます。
以上、色々とご意見・ご感想を頂きありがとうございました。 これからも引き続きご協力頂きます様、宜しくお願い致します。
(文責: 岩動 達)
[写真: CIGSホームページより抜粋]