12月14日(土)に慶応大学国際センターで実施の出前授業について、以下の通り、ご報告いたします。
欧米および東南アジア地域からの14名の留学生を対象に、「日本の伝統的芸能を落語と小噺を通して学ぶ」というテーマの下、約1時間半にわたり英語による授業を実施いたしました。以下、当日のプログラムに沿って授業内容をご報告いたします。
第1部の冒頭で、GEMを使用した恒例の自己紹介から始め、ゴルフ・英語・音楽に関する熱い思いを語りました。参加者全員が外国からの留学生ということでもあり、異文化体験に触れて頂きたい意図で、有名な詩吟“富士山”を吟じさせてもらいました。
次に、落語と小噺とはどういうものか、外国の方にも理解できるよう、簡潔に且つ具体的にジェスチャーを交えながら解説しました。その後、実際の小噺を4題演じました。
日本語を学習していて、ある程度理解できる留学生が何人かおられるとのことなので、日本語で小噺を2題ご披露しました。「落ち」あるいは「さわり」の所に日本語の語呂合わせ、駄洒落、擬音語が使われていて、翻訳が困難か、無理やり翻訳しても面白味が失われることを例示するための試みでした。
第2部は、当日の目玉である落語演目「死神」から開始しました。過去、出向先は中学校が多く、中学生の興味を狙った「桃太郎」や「動物園」を演じることが定番でした。20代の海外留学生が対象でもあり、大人に比較的人気の高い「死神」を選びました。
受講生からの本演目に対する反応は高座を通して終始ヒシヒシと感じられ、気持ち良く演じられた実感があります。最後に、受講生自ら演じて頂く小噺ワークショップ・コーナーを設けました。6-7名のチャレンジャーを期待して、事前に8題の小噺教材を配布し、各自読み込みをお願いしました。ところが、当日その場で志願者を募ったところ、自ら志願する学生はおらず、半強制的に4名を指名して演じてもらいました。その中の最初の演技者は教材も見ず、講師自らが実演した通り、上手(かみて)、下手(しもて)を意識して、登場人物になり切った素晴らしい演技を披露されました。残りの3名も教材を見ながらでしたが、一生懸命に演じられた姿に大変感動を覚えました。
授業終了後に、一人の生徒さんが私に近寄り、日本語で話しかけるではありませんか!
フランスからの留学生で、流ちょうな日本語で「死神という落語は知っていたが、今日聞いた死神は最高で、とても素晴らしい落語を有難うございました」と言ってくれた感謝の言葉でした。長期にわたる準備と当日の1時間半近くの授業に伴う疲労が一遍に吹き飛んだ瞬間でした。
最後に、本授業の機会を与えて頂いた慶応大学国際センターの菱山講師および授業を盛り立ててくれた参加留学生の皆様に感謝いたします。特に、参加留学生が本授業を通じて、日本文化の何かを学び、その成果を何らかの形で生かせることを祈念して、本報告書を締め括りたく存じます。
(文責:関根純一)