7月5日(土)に開催された、町田市立真光寺中学校の「第38回国際交流の日」に、今年も当会より講師2名を派遣しました。野瀬哲郎講師は、「多文化共生(外国の文化・暮らしの違いに触れる)」、仲栄司講師は、「アジアの国々を知ろう」というテーマで講演を実施しました。
野瀬講師略歴:横浜国立大学工学部金属工学科卒、1975年三井物産(株)に入社し、中国(北京・上海)に合計約14年、オーストラリア(シドニー)に4年駐在、2011年より、中国(寧波・広州)の関係会社に出向駐在を経て2016年に退職、 同年 特殊金属エクセル入社、海外事業を統括、その後コンサルティング会社にて中国・東南アジアに展開、2023年より、日本語学校にて若手の外国人に対する教員としての活動を開始
以下、野瀬講師の出講報告です。


日時: 2025年7月5日 (土) 午前 10時00分 ~ 10時50分
講演場所 : 真光寺中学校講演テーマ : 『多文化共生(外国の文化・暮らしの違いに触れる)』
1. 講演の様子:昨年、一昨年に続き、町田市の真光寺中学校で、今回が38回目となる同校の伝統行事『国際交流の日』のプログラムの分科会で、2年生約30名のクラスで出張講義を行いました。生徒達は大変興味を持って話を聞いてくれて、私が現在、教えている日本語学校の中国人留学生よりはるかに、礼儀正しく、気持ちの良い授業が行えました。前回は2名の外国人生徒がいましたが、今回は全員が日本人のクラスでした。
2. 講演内容: テ-マであるグロ-バル社会での多文化共生は、2020年から3年余り続いた新型コロナウィルスの世界的な蔓延と、自国第一主義を貫く米国のトランプ大統領の型破りな政策で、一部に混乱はあるものの、一度確立した世界のグローバル化の流れは止めることができない。一方、日本の少子高齢化は深刻な問題となっており、今後、労働人口が減少して行く中で、日本は好むと好まざるとに拘わらず、海外からの人材を受け入れて、異文化・多文化と共生して行くことが求められることを、用語の解説を交えながら、できるだけ分かりやすくかみ砕いて紹介しました。発表要旨は下記の4項目。
(1) グローバル社会では、文化の異なる外国人との共生は必要不可欠。
(2) 国が違えば文化の違いは当たり前。
(3) 異文化を知り、それを尊重することが大切。
(4) 日本は今後益々、少子高齢化が進み、単一文化に留まることでの将来はありえない
・ 世界中に構築されたグローバルサプライチェ-ンは、コロナの影響や、トランプ大統領の米国第一主義政策があっても、後戻りす ることはできない。今後どんな形に変化していくのか工夫が必要となる。
・ 日本の少子高齢化は今後益々深刻になる。日本の人口は2011年から減少に転じて、2050年には1億人を下回る。日本の平均年齢は49.9歳(2023年)で世界第2位の高齢国。国力は人口に比例することから、今後は海外からの移民を受入れたりすることで、文化の異なる外国人との共生が必要。結論として
➢ 日本の常識が世界の常識とは限らない。日本の文化が世界から異質に感じられることも多々ある。
➢ 先ずは世界を知ることが大切。多文化・異文化に目を向けよう。その為には、海外の人達との積極的な交流を図ろう。
➢ 世界のグロ-バル化と、日本の少子高齢化は待ったなし、これからは多文化との共生が必要になる。
3. 講演後の感想:中学2年生への講義は、昨年、一昨年に次いで3度目で、今回の生徒達も実に素直で明るく、こちらからの質問に対するリアクションも良く、大変気持ちよく授業を進めることができました。ただ、昨年に比べると、海外に関する興味や、海外に行きたいと話す生徒があまりいなかったことから、日本が内向きになっているのか(日本の生活が便利だから)との感じを受けました。今回の出講で、中学2年生と交流できたことは、大変に有意義で、彼らから大いなるエネルギ-をもらうことができ、心地よい後味が残りました。
ご尽力頂いた真光寺中学校の関係者の皆様に心から感謝いたします。 以上
仲講師略歴:1978年 上智大学外国語学部ドイツ語学科入学、1982年 日本電気㈱入社 (欧州事業に携わる)、1986年 NEC ドイチュラント社出向(セールスプラニングマネジャー)、1990年 NECイタリア社出向(コーポレートプラニングマネジャー)、1992年 帰任(アジア事業に携わる)、1998年 NECフィリピン社出向(社長)、2000年 帰任(携帯電話、サーバー事業に携わる)、2015年 NECアジアパシフィック社出向(スマートエネルギー事業責任者)、2018年 帰任
2019年 日本電気㈱退社、NEDO入社
2021年 NEDO退社、神田外語キャリアカレッジ入社 代表に就任、2025年 神田外語キャリアカレッジ代表を退任
以下、仲講師の出講報告です。


日時: 2025年7月5日 (土) 午前 10時00分 ~ 11時00分
講義場所 : 真光寺中学校
講義テーマ : 『アジアの国々を知ろう』
- 授業の流れ:
町田市にある真光寺中学校で、今回が39回目となる同校の伝統行事『国際交流の日』のプログラムの分科会で、2年生のクラス約30名の生徒に対し、出張講義を行いました。
最初に、アジアにどんな国があるのか、どんなイメージを持っているかをグループで話し合い、発表してもらいました。暑いとか人口が多いとか渋滞が問題といった意見が出されました。
次にアジアに関する写真をスライドで提示し、どの国のどういうものかをクイズ形式で質問しました。シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズホテルなど意外と知らず、スマップがコマーシャルでやっていた時代が過去のものになったことを感じました。
今回は、経済的なことにはほとんど触れず、文化を中心にアジアを紹介しました。特に食べ物やファッションなどです。また、日本のアニメがポピュラーですので、どのアニメのキャラが各国で人気があるかを紹介しました。さすがに「ドラえもん」が一番人気であることをみなさん知っていました。
さらにアジアの範囲を地理的に提示し、どういう国がアジアにあるのかを地図とともに理解してもらいました。最後に私からのメッセージとして、相手の文化や価値観に敬意をもって知る姿勢が大事であること、個人的にアジアの空気感(尖っておらず、ゆったりした気分)が大好きであることを話しました。空気を感じるためには実際に行かないと音や匂いや光など体感できないため、将来はぜひアジアを訪れ、自分なりのアジアの空気感を掴んでほしい旨伝えました。
総じて生徒のみなさんはよく話し合ったり、考えてきました。一人「おれは東大をめざすんだ」と公言してはばからない生徒がいて、よく発言してくれました。
- 講演内容と主なポイント:
主な授業内容は以下のとおりです。
(1)アジアの国とイメージについてグループ討議、発表
(2)アジアについての概要を講義
(3)日本と東南アジアの関係の歴史を大雑把に説明
(4)写真を提示してどこの国かを当てるクイズを実施
(5)東南アジア諸国の概要と特徴、地理的所在を説明
(6)東南アジアへの私自身の想いと空気感を提示
・人口が多いというのが生徒のみなさんの圧倒的なアジアの印象でした。それは、中国、インドに象徴されているからのようです。他にもバングラディシュやパキスタン、インドネシア等1億人を超える国があること、何より日本も1億人を超える人口であることを認識してもらいました。
・アジアでは、太平洋戦争のことを知っていることは非常に大事であることを強調しました。日本人として太平洋践祚王のことはよく認識した方がいい旨コメントしました。
・東南アジアのイメージとして、仏教と農業が挙げられることを述べました。特に、タイ、ミャンマー、カンボジアあたりがそうです。こうした国の穏やかな雰囲気は日本人に合うことを述べました。
・「ドリアン」を知っている生徒が今回もいました。食べたこともあると言っていました。シンガポールの地下鉄では、「No Durian」の表示があるくらい、匂いの強い果物です。好き嫌いの分かれる果物ですが、「果物の大様」と言われていることを紹介しました。
・シンガポールのホーカーセンターのような屋台もアジアの大きな特徴であることを説明しました。安くて気軽に飲食できる雰囲気があり、人が多く、混沌としたる雰囲気は東南アジアの風景の特徴で、また、冷房がないので暑いことにも触れました。屋台は東南アジアの空気感を最もよく象徴しています。
これは私自身が東南アジアで一番感じている特徴で、この「空気感」はことばで説明しても説明し切れないので、将来、実際に東南アジアの国々を訪問して味わってもらいたいと言いました。「空気感」とは、匂いや暑さからくるものですが、そこに解放感があります。私自身の俳句も披露し、バナナさえあれば何とでも生きていける、という東南アジア(特にフィリピン)の人々の生き方についても述べました。
3. 講演後の感想:
私自身、中学二年生のときを思い出してもシンガポールやマレーシアといった国のことは何も知りませんでした。百聞は一見にしかず。国を知るには、実際に行って、その国の人や風物に触れるのが一番です。将来、実際に訪問する機会があればいいなと思います。ただ、今年は大阪万博が開催されていますので、そこでアジアの国のパビリオンを訪れるのもいい経験になると思います。スライドに万博の写真など用意していましたが、時間の関係で提示するにはいたりませんでした。
今回、ご尽力頂いた真光寺中学校の関係者に心から感謝いたします。また、阿部様、菊池様をはじめ「国際人をめざす会」の皆様よりこのような機会をいただきましたことにあらためて感謝申し上げます。また、佐瀬様にも手続き等ご支援いただき、あらためて感謝いたします。
以上