東京福祉専門学校へ末廣講師を派遣しました。

12月5日、東京福祉専門学校へ末廣みどり講師を派遣し、「実体験。アメリカ教育事情」というテーマで学生約80名に講話を行いました。

末廣みどり講師略歴: 清泉女子大学文学部英文学科卒。マンハッタンビルカレッジ修士課程(英語教授法 TESOL)修了。在ニューヨーク州ライ市5年。ニューヨーク、ライ市公立小学校にてESL(外国人児童に英語を教えるクラス)でボランティア補助教師を務める。また、小学校・高校のニューヨーク州学力テストの日本語通訳を務める。隣町ハリソン市の駐在日本人妻向けの英語講座を米国人講師と共に担当。

以下、末廣講師の出講報告です。

学校について
外国人が多く居住する東京西葛西にある、東京福祉専門学校の、こども保育科は、将来保育士、幼稚園教諭・施設職員を目指す学生を養成する専門学校です。学生達は、卒業後保育園や幼稚園で外国人のこども達や
その保護者と関わっていく予定です。例年、12月の第一週に国際教育期間として、海外のこどもの実情、海外で保育士として勤務すること、留学生との交流活動を実施しています。今回、活動の一環として私の「実体験。アメリカ教育事情」の授業を致しました。
授業内容
前半は、スライドの質問5問に、学生が◯か✕を答える形式としました。
① 小学校の入学時期を保護者が決められる。 答え:○
日本と異なるアメリカの教育制度を提示した後、保護者は、こどもの成長に合った教育を受けさせたいと思っています。
② 毎日、小学校の朝礼で、国旗へ忠誠の誓いをする。 答え:○
日本の小学校の朝礼では見られない、各教室にある星条旗に向かって直立し、右手を左胸に当てて、忠誠を誓います。
③ 児童は先生に、口答えできる。 答え:✕
アメリカの教師は、こども達やその保護者からも尊敬されています。保護者は、こどもを先生と一緒に育てるという姿勢で、通学させています。
④ 子ども一人で、留守番ができる。 答え:✕
12歳以下のこどもが一人で留守番していることが分かると、警察にネグレクト(育児放棄)
として通報されます。誘拐防止のため、外を歩く時保護者は、必ずこどもと手をつなぎ、日本のように
先に歩かせたりはしません。
⑤ 公共の場で、子供達が騒ぐ、走り回るとき、まわりにいる大人は、注意をしない。   答え:✕
アメリカ人は、たとえ、よそのこどもであっても、公共のマナーが守れない場合、躊躇することなく注意し、注意をされたこどもと保護者は素直に受け入れます。

後半は、米国の中学校・高校で行われるグループワークとプレゼンテーションを体験しました。
ミッション① 8-9人一組のグループを作る。
人数が8-9人に満たないクループもありましたが、一人取り残される学生はいませんでした。
ミッション② 外国人に教えたい日本古来の遊びを、各グループで3つ考える。
日本古来の遊びを3つ選ぶことは、すぐに出来ていました。
ミッション③ 各グループが教室の前に出て、3個の遊びと選んだ理由を、ほかの学生に説明する。
外国人がお土産として持ち帰られる「竹とんぼ」「おりがみ」、皆で一緒に楽しめる「花いちもんめ」
「福笑い」、体を動かす「竹馬」「お手玉」「けん玉」と、色々考えて遊びを選んでいました。

まとめ
グループワーク・プレゼンテーションが出来ることが、アメリカ社会で活躍できる人の条件となる。
アメリカ人は個人主義と思われるが、小学校から高校までグループワーク・プレゼンテーションを経験し、
社会で活躍する準備をしていると説明しました。

感想
相互方向の授業を目標として実施しましたので、学生は楽しんで参加していた様子でした。前半のクイズ形式の授業では、学生にとってすべて目新しいアメリカ教育事情だったと思いますが、特に日本人の保護者が通常行っている、「こどもを一人で留守番させる」ことが、アメリカでは育児放棄として警察に通報され、罪に問われる事実にどよめきが起こりました。そして、後半のグループワークとプレゼンテーションの活動では、日本人が不得意とする瞬時のグループ作りに挑戦しました。幸い、今回は一人になってしまった学生はいませんでしたが、グループに入れず一人残ってしまった場合のアメリカ人の生徒の対処方法を説明しました。①自分から「グループに入れて。」と働きかける。②教師に「グループに入れませんでした。」と言って、グループに入れるように教師の援助を求める。③他の生徒や教師にお願いしたくないので、教師に「自分一人でグループ活動をします。」と言う。グループを作る場合、本人からの申し出がない限り、アメリカ人教師は、一人残されてしまった生徒が、グループに入れるように働きかけはしないと話しました。この説明の時も、学生からどよめきが起こりました。卒業後保育園や幼稚園で外国人のこども達やその保護者と関わっていく学生に、外国では日本の常識は当てはまらないということを、理解する場になったと思っています。今回の授業で、私も日本とアメリカの教育の違いを、再認識することができました。このような機会を与えて下さいました方々に、とても感謝しております。有難うございました。