「国際人をめざす会」創立20周年記念/秋の交流会が開催されました。

2019年12月17日午後6時より「世界の新しい潮流」と題して、キヤノングローバル戦略研究所理事長福井俊彦氏と2名の若手研究員による講演会が行われました。
講演は「世界の新しい潮流」を主題に、福井俊彦氏(当会顧問)が現状分析と今後の課題を述べられたあと、岡嵜久実子研究主幹と、この講演のため一時帰国されたタイ・バンコク駐在中の神保謙主任研究員から、これからのアジアの力について、それぞれの研究分野でお話しいただきました。

 

 

 

 

 

 

まず、福井氏は、戦後70年の世界経済を前半と後半に分け、戦後から1980年半ばまでの前半40年は、パックスアメリカーナの下で、世界経済の繁栄と平和を築き上げ、人々の暮らしは安定していった。後半の1980年半ば以降は、経済のグローバル化、中国の登場と台頭、ホストコンピューター小型化、インターネット・スマホ等の情報通信革命により自由に国境を越え世界全体の中で濃密な交流が行われたこと、そして、先進国中心の産業資本主義は成熟段階に達し、次の新しい産業革命が実現するまでの谷間に差し掛かっていると述べられました。
また、安全保障面では、米国が絶対的強さから相対的強さに変わり、世界の安全保障の要を見直す時期に直面している。そして、米国と中国との覇権争いは、中々終結とはいかない。その狭間に立つ国々はしっかりとそれぞれの役割を確認していくこと、特に日本は米国との同盟関係にあり、中国とは歴史的にも、文化的にもつながりは深く、両国の間でどう呼びかけをするかが重要な責務であるとお話されました。

 

 

 

 

 

 

次に、神保氏は「世界の新しい潮流」とは何かを国際政治、とりわけ安全保障面から、キーワードとして「地政学・地経学・戦略的競争」から世界を見ると、米国や欧州(NATO)の後退により世界のパワーバランスが崩れ、中国・ロシア等が台頭し、アジアと欧州の安全保障の地位はその濃度を高めながら縮小し、地政学の後退という現象がみられていると述べられ、その中で、日本は台頭するインドと拡大しているアセアンを如何にして取り込んでいくかが重要であると指摘されました。

 

 

引き続いて岡嵜氏は、「経済の安定成長への円滑な移行を目指す中国」について改革開放後40年間の経済成長ぶりを述べ、今後の課題として「対外経済への対応」「債務問題」「高齢化社会への対応」を指摘されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参加者は70名ほどで、交流会としては過去最高を記録し、そのうち半数は一般参加で学生11名など幅広い層の方からのご参加もあり、皆様大変熱心にメモを取り聞き入っていました。懇親会では、講演会の熱気がそのまま持ち込まれ、多くの方から感銘と感謝の言葉をいただきました。また、同時に多くの若い方々を交えての懇親会は今後の「国際人をめざす会」の明るい将来を示唆しているように思えました。      (文責:大山正弘)

資料:経済の安定成長への円滑な移行を目指す中国の課題(岡嵜久実子氏)

資料:地政学・地経学・戦略的競争からみる世界(神保 謙 氏)①

資料:地政学・地経学・戦略的競争からみる世界(神保 謙 氏)②

 

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