横浜市立梅林小学校へ湯澤講師を派遣しました。

2月25日、横浜市立梅林小学校へ湯澤三郎講師を派遣し、「思い切り世界で自分らしく」というテーマで、卒業間近の6年生に講話を行いました。

湯澤三郎講師略歴: 1940年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。ジェトロ理事、エルサルバドル大使、エジプト通産大臣輸出振興アドバイザーを歴任、現在 国際貿易投資研究所専務理事。海外駐在体験国:スペイン、米国、ブラジル、ペルー、エルサルバドル、エジプト。

以下、湯澤講師の出講報告です。

2020年2月25日。思えば新型コロナウィルスが猖獗を極める寸前、ぎりぎりの時機でした。講師派遣委員長の阿部 清さんと金沢シーサイドラインの新杉田駅で落ち合い、梅の香が漂う梅林小学校へ向かいました。阿部さんによれば、梅林小学校への出講は3回目になるそうです。第1回にお話しした当時の6年生は、もう中学3年生ということでしょうか。
学校では黒木校長先生と暫くお話して、6年生のクラスに向かいました。受け持ちは最近サンディエゴの学校との交換研修を体験された川崎先生です。生徒さんにアメリカの体験を通して大きく育って欲しいというエネルギーが満ち満ちている、新進の女性の先生とお見受けしました。
好奇心溢れる生徒さんに、まず「世界のなかの日本」から話を始めました。

 

 

 

 

 

 

 

3000万人を超える訪日外国人の評判はすこぶる良い。「綺麗、安全、秩序正しい、親切、美味しい・・・」。実は江戸時代末に訪れた外国人も同じように日本を称えていた。「礼儀正しい、心がけが素晴しい、勉強熱心、安全」と口々に。
今の日本は評判以外に、世界で一番お金持ちになっている。けれども何か元気がない。他の国がどんどん力をつけて成長しているのにモタモタしている感じ。金持ちだから外国の会社を買っているけど、どうもうまく行ってない。外国人とどう働いたらいいか、よく分からないらしい。

これからの日本は人口がどんどん減ってゆく。働く人も買う人も減るわけだから、ビジネスは減る。会社が儲からないから月給も増えそうにない。だからビジネスを広げるには、これからの日本は外国とのビジネスで稼がなければならない。
皆さんはこれからどういうお仕事についても、外国との関わりが必ず出てくる。外国人と学び、暮らし、仕事をすることが当たり前になる。
そのために皆さんはどうしたらいいのだろう。
まず今からできることで大事なのは、自分の意見をはっきりと言うように心がけること。
周りを見て手を挙げたり、考えずに同じ意見だと言ったりしていないだろうか。(思い切り、自分らしく!)
更に、自分の意見を持つにはそれなりの訓練が必要だ。いつも「なぜ?」を考えるようにする。相手の話をよく聞くようにする(聞くことは話すより大事な習慣)。本を読む。
授業や相手の話で「分からない時に質問する癖をつける」
などは今から誰でもできることです。

もう一つ大事なことを追加します。
子供、大人にかかわらずいつからでも、今からでもできることですが、誰も教えてくれない。
だから大人になって偉くなっても失敗する人が多いようです。
それは「何になりたいか」と同時に、あるいはそれ以上に「どういう人になりたいか」自分の将来の自画像をずっと描き続けることです。社会的にどんなに高い地位についても、しっかりと「自分はどういう人になりたいか」を持っていないと、ふとした機会に取り返しのつかない失敗、間違いを犯してしまいます。

外国人と一緒に働くために英語ができなければと思うでしょう。でも江戸時代、アメリカを訪問した幕府のサムライ使節団員は、英語ができなくてもとても評判がよく、敬意を払われました。「振る舞いが立派で礼儀正しかった」から。英語は大事だけれど「話す内容と話し手の人柄」はもっと大事。卒業してから勉強の方法は読書以外では、「出来事と出会う人」からです。出来事の意味を考えることは価値のある習慣になります。出会う人からは、「自分にない素晴らしいもの」「行いや言葉から自分が気づかないこと」を発見し、成長への糧とすることができます。サッカーの長友選手は「自分の人生で起きたことで無駄なことは一つもなかった」と言っています。

  

 

 

 

 

 

 

人はそれぞれ違います。違いがあるから素晴らしい。自分らしさをなかなか自分だけでは気づきません。他人の方がよく知っていることもあります。勉強するのはこれまで知らなかった自分を発見してゆくことでもあります。誰でも自分を知っているようで実は知らない。人間を知ることは宇宙を知ることだともいわれている位です。それほど人間は奥深く、不思議な生き物と言えます。
人は違いのなかに、それぞれの役割、その人でなければできない役割があります。それをいつも探し続けている。一人ではなかなか難しく、周りの人が助けてくれて発見できることが多いようです。
だから周りの人々との交わり、コミュニケーションがとても大事になってきます。どんな仕事についても、人との交わりを大事にしないと何もできないといってもいい位です。より良い人間関係をつくれるかどうかは、学校の成績が良かった、悪かったの問題ではないようです。
どうすれば周りの人々とより良い交わり、関係、コミュニケーションを築くことができるのでしょうか?
短い言葉に圧縮して言えば「おめでとう、有難う、ごめん、よろしく、どうぞ」を毎日心がけること。おめでとうの前に挨拶の「おはよう」を入れましょう。より良い人間関係はまず挨拶から始まるけれど、これができない、やらない、軽んじる人がとても多いのです。最後の「どうぞ」は、まず自分から相手に何かを差し上げる気持ちを表しています。相手から何かを期待するのではなく。
小さなことだけれど、このうち一つでも二つでも毎日努力する人は必ず輝いてきます。輝く人に周りの人が近づいて来て、自然に助け合いができるようになります。

より良い人間関係の先にあるものは、「自分はどういう人になりたいか」です。
中学校では道徳という教科でいずれ色んなことを勉強するでしょう。しかし、「どういう人になりたいか」は教科書で憶えるようなものではありません。
これから自分は色んな人に出会って「あの人は素晴らしい」「あの人を尊敬する」「ああいう人になりたい」という思いを持つでしょう。実際に出会わなくても、本で出会ってもよい。そういう経験を繰り返しながら、段々「どういう人になりたいか」が次第にはっきりしてきます。
僕の場合は数ある人たちとの出会いのなかで、素晴らしい人たちがやはり少ないけれどいました。どうして素晴らしいのかを考えた結論は、あの人たちは皆な「爽やかで優しく、逃げず、あきらめない」人たちだったと気がつきました。
これが僕の「どういう人になりたいか」の目標になっています。死ぬまで目標に届くように努めながら何回も挫けるだろうと思います。
でも少しでも一生懸命に努力することが大事だと思っています。このうちの一つでも目標に達するのは難しい。例えば「爽やか」というのは一体何だろうと考えてみよう。「嘘を言わない」「いつも前向きに考える」「自分第一を考えない」「誰かが喜んだら一緒に喜ぶ」
「人の道を大事にする」・・・など。どれも易しいことではありません。
「優しい」人になるのも難しい。強くなければ優しくなれないからです。意思を強く持つことは簡単ではありません。
でも少しでも目標に近づけるようにひたむきになることが大事ではないかと思います。
なぜなら母なる自然界の草木、花々、虫たちは、みんな一生懸命に生きている。一生懸命に生きる時、全ての存在は「らしさ」を発揮して輝き、全体が輝くのです。自然はすごい法則で秩序正しく動いているけれど、「一生懸命に生きる時、全てが輝く」というのも、もう一つの法則と言ってもいいでしょう。
人はだれでも一生懸命になる時、自由で輝きを増し、その人ならではの「何か」ができるようになると母なる大自然は教えてくれています。

生徒感想文